580 名前: 運命夜行  ◆ujszivMec6 [sage 女教皇の正位置] 投稿日: 2007/03/10(土) 00:28:41

 いっそ新都まで行こう!
 さすがに新都まで行くとなると、午後からの授業は完全にサボりになっちまうが、まだまだ出席日数には余裕があるので無問題。

 というわけで、新都駅前にあるカレーショップにやってきた。
「イラッシャイマセー」
 カウンターに座り、自称インド人の店長に注文を告げる。
「チキンカレー。十倍、大盛りで」

 この店のカレーは、自称インド人の店長が作ってるだけあってなかなか辛いと評判なのだが、バイト先の中華料理屋で鍛えられたオレの舌にはまるで物足りないので、いつも十倍で注文する。
 士郎や慎二とこの店に来ると、いつもオレが十倍カレーを食べるのを見て「信じられない」という顔をされるのだが、まあシロウトはせいぜい二倍か三倍の辛さで……

「三十倍野菜カレー、お待たせシマシター」
 ……オレの三倍は持ってこいだとぅ!?
 思わずそっちを向いた。

 なんか、銀髪の修道女がカレー食ってる。

「――――――――」
 言葉がない。
 なんでこの店に修道女がいるのか。
 なんであんな三十倍カレーを食っているのか。
 つーかアンタがカレー食ったら誰かとキャラが被るんじゃないか。

「なるほど、先輩が至高の料理というだけのことはありますね。なかなかの辛さだわ」
 あー、その先輩とやらにカレーを勧められたワケね。
 でもその先輩も三十倍カレーを勧めたワケじゃないと思いますよ?
 ところで先輩って誰だ。

「でも、少し刺激が足りないかしら」
 三十倍でかよ!

「ご馳走様でした」
 あっという間に三十倍カレーを平らげ、紙ナプキンで口の端を拭いている修道女。
 そのまま席を立ち、オレの後ろを通り過ぎようとしたところで、

「……っ!」
 突然顔をしかめた。
 ホラ、やっぱ三十倍カレーなんてもん無理して食うから……
 ってワケでもなさそうである。

「…………」
 なんか腹を押さえながらオレの方を睨んできた。なんでさ。

「マイドアリー」
 そのまま、オレに声をかけるでもなく、代金を払って店を出て行ってしまった。
 何だったんだ、一体。

「十倍チキンカレー大盛り、お待たせシマシター」
 そしてオレの前に運ばれてきた十倍チキンカレー。
 オレは妙な敗北感を感じながらチキンカレーを食ったのだった。

※『謎の修道女』 冬木市に謎の修道女が現れました。

 さて。結局午後の授業サボっちまったワケだが―――

女教皇の正位置:せっかく新都に来たんだし、新都で遊んで行こう!

吊るされた男の逆位置:いや、今から急いで学園に戻れば、ギリギリ六時限目の授業には間に合うな。

愚者の逆位置:いっそもう家帰って寝るべ。

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最終更新:2007年03月10日 03:11