683 名前: 運命夜行  ◆ujszivMec6 [sage 女帝の正位置] 投稿日: 2007/03/13(火) 02:28:51

 ドォォォーーーーーーン

 凄まじい衝撃と共に、私はこの世界に召喚された。

「――――――っ」
 霊体であるこの身は、この程度の衝撃ではダメージを受けない。
 だが、痛覚はしっかりと働いている。
 ……要するに、痛かった。

 とりあえず周囲を見渡し、状況を確認する。
 どうやら、ここはどこかの屋敷の一室のようだ。
 周囲は瓦礫まみれ。天井には大きな穴が開いている。
 ……どうやら、私はあそこから落ちてきたらしい。

「……何事なんだ、これは」
 説明を求めようにも、肝心の私を召喚したマスターの姿が見えない。
 とにかく、現状の把握だ。

 私は、聖杯戦争のために召喚された英霊、サーヴァントだ。
 クラスはアーチャー。
 真名は…………む?

 記憶に混乱が見られる。
 聖杯からもたらされた情報は問題なく引き出す事ができるのだが、生前の、私自身の情報を引き出す事ができない。
 原因は先ほどの衝撃か、それとも召喚自体に何か不手際があったのか。
 何か、重要な目的があってこの聖杯戦争の召喚に応じたはずなのだが―――

 と、どたどたと足音がこちらにやってくる。
 その足音は、この部屋の前で止まり、がちゃがちゃと扉を開けようとして―――
「―――ああもう、邪魔だこのおっ……!」
 どっかーんと、蹴破って中に入ってきた。
 ……やれやれ、ようやくマスターのご登場らしい。

 足音の主は、十代後半くらいの少女だった。
 鮮やかな赤い服に、ツインテールに結われた黒髪。
 何故か、その姿に懐かしいものを感じた。
 彼女は開口一番、
「…………また、やっちゃった」
 そんな事を呟いていた。

684 名前: 運命夜行  ◆ujszivMec6 [sage 女帝の正位置] 投稿日: 2007/03/13(火) 02:30:29

 ―――数時間後。
 私は彼女の家の居間を掃除させられていた。

 あの後、

「―――確認するけど、貴方はわたしのサーヴァントで間違いない?」
「それはこちらが訊きたいな。君こそ私のマスターなのか。ここまで乱暴な召喚は初めてでね、正直状況が掴めない」

 と、互いに状況の確認をしようとしたのだが、

「わたしが訊いているのはね、貴方が他の誰でもない、このわたしのサーヴァントかって事だけよ。
 それをはっきりさせない以上、他の質問に答える義務はないわ」
「……召喚に失敗しておいてそれか。この場合、他に色々と言うべき事があると思うのだが」
「そんなのないわよ。主従関係は一番初めにハッキリさせておくべき物だもの」
「ふむ。主従関係だけはハッキリさせておく、か。やる事は失点だらけだが、口だけは達者らしい」

 と徐々に険悪な雰囲気になり、

「仮に、私が君のサーヴァントだとしよう。で。その場合、君が私のマスターなのか? いやまあ、あくまで仮の話だが」
「あっ、当ったり前じゃない……! 貴方がわたしに呼ばれたサーヴァントなら、貴方のマスターはわたし以外に誰がいるっていうのよ……!」

 と売り言葉に買い言葉となり、

「うるさーい!
 いい、アンタはわたしのサーヴァント! なら、わたしの言い分には絶対服従ってもんでしょうーーー!?」
「な、なんだとーーーーーー!?」

 となった。

「……まさか、あそこで本当に令呪を使うとはな……」
 令呪にかけられた命令は絶対服従。
 通常、そんな大雑把な命令は大した強制力を持たないのだが、どうやら彼女の魔術師としての才能はケタが違ったらしい。彼女に逆らうとランクが一つばかり落ちてしまうのだ。
 令呪を使われたのは誤算だったが、卓越した魔術師がマスターとなったのは幸運といえる。
 だが……

「……サーヴァントとしての最初の仕事が掃除とはな……」
 できれば拒否したかったのだが、先ほどの令呪の命令が効いている。従うしかなかった。
 まあ、不可抗力とはいえ、この部屋を散らかした責任は私にもある。
「……よし、やるからには徹底的にやってやろうではないか」
 私は気合を入れなおし、ホウキを握り締めたのだった。

 さて、部屋を整理するついでに、混乱した私自身の記憶についても整理しておこう。
 とりあえず、私の真名、私の武器、そして私の聖杯戦争における目的は思い出しておきたい。

※真名・武器・目的の選択肢をそれぞれ一つずつ選んでください。

 私の真名は―――

 正義の正位置:衛宮士郎だ

 愚者の正位置:……思い出せない

 私の武器は―――

 魔術師の正位置:投影だ

 世界の正位置:固有結界だ

 世界の逆位置:……思い出せない

 私の目的は―――

 塔の正位置:衛宮士郎の抹殺だ

 塔の逆位置:聖杯の破壊だ

 太陽の逆位置:……思い出せない

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最終更新:2007年03月13日 14:08