942 名前: 運命夜行  ◆ujszivMec6 [sage 戦車の正位置] 投稿日: 2007/03/22(木) 15:02:10

「よし、士郎を迎えに行くとするか」
 なんせ士郎である。放っておいたら『どうせだからとことん掃除してしまおう』とかいって一日中掃除をしている恐れがある。
 まあ一度手伝うと言った手前、まだ掃除しているようなら手伝ってやるとしますか。
「そうと決まれば早速……」
 ……腹減ったな。
 考えてみれば、今日は授業が終わってすぐ、遠坂と追いかけっこをして、その後バゼットをみつけて、なんだかんだで昼飯を食いっぱぐれてる。
「……飯にしますか」
 バゼットも今まであんな所に押し込められて腹を空かせてるだろうしな。

 とはいえ、士郎を迎えに行くと決めた以上、あまり飯に時間をかけたくない。
「そこで、取り出だしたるはインスタントラーメンだ」
「ふむ、インスタントラーメンですか」
「そう、おなじみ鶏ラーメン。お湯を注いでたった三分待つだけでラーメンができる人類の英知の結晶だ」
 小腹がすいた時の夜食や、いざという時の非常食としても便利なので、戸棚の中にいくつか備蓄している。
 士郎はあんまこういうの好まないので、消費するのは主にオレと藤ねえだ。ちなみに桜も時々食べているのは公然の秘密である。
「……三分も、ですか」
 ……あれ? 今「も」って言わなかった?

 丼にラーメンを入れて、お湯を注いで、蓋をして、キッチンタイマーを三分でセット。
 十秒。
 二十秒。
 三十秒。
 四じゅ―――

「……って何してんだアンタ」
 何もクソもねえ。何かもう蓋開けてますよこの人。
「いただきます」
 いや、いただきますじゃなくて。
 麺もまだほぐれてないし、スープほとんどお湯のままだし。
 片腕じゃ箸は使いにくいかなーと思ってフォーク出したんだが、そのフォークに麺の塊を豪快にぶっ刺して、口に運ぶ。
 ああ、まだふやけきってないからボリボリと音がしてるし。

「ごちそうさまでした、アンリ」
 結局、オレのラーメンが出来上がる前にバゼットは完食してしまった。
「……なあバゼット、今の美味かった?」
「ええ、インスタントラーメンとは中々便利な食料ですね。ただ、お湯をかける意味はあまりないと思いますが」
 いや、たしかにそのままバリバリ食ってもいいけどね。あれはラーメンといよりはスナックというかなんというか。

 ……そして、ようやくキッチンタイマーが鳴り、オレのラーメンが完成したのだった。
943 名前: 運命夜行  ◆ujszivMec6 [sage 戦車の正位置] 投稿日: 2007/03/22(木) 15:03:32
「じゃあバゼット、オレはこれからちょっと士郎を迎えにいってくるわ」
「士郎、というのは貴方の家族ですか?」
「ああ、オレの兄弟。多分掃除を手伝う事になるから、ちょっと遅くなるかもしれねえけど、留守番頼むな」
「わかりました。外敵の排除はお任せください」
「……あー、そんな排除するような外敵は襲ってこないと思うから、気楽に待っててくれ。なんなら寝ててもいい。アンタ、怪我人なんだし」
「いえ、これぐらいの事はさせてください。命を救っていただいたせめてもの恩返しです」
「……わかった、好きにしてくれ」

 我が家から穂群原学園までは徒歩で約三十分。
 自転車を使えばもっと早く着くんだろうが、帰りに野郎で二人乗りするのもアレなので、歩いて迎えに行く。
「……まったく、士郎も慎二から頼まれた掃除なんて適当にやればいいのによ、律儀というか、几帳面というか―――」

 さて、やってきました弓道場。
 中を覗いてみると……いたいた、士郎と……げ、遠坂がいる。
 ……そうか、オレが捕まらなかったから、士郎の方を抑えにかかったわけか。
 とりあえず、遠坂にみつからないように様子を伺う。
 遠坂の後ろには赤いのもいるようだ。幸い士郎に集中していて、まだオレに気づいてる様子はない。
 遠坂は士郎と何か話している。おそらく雑談を装ってオレの情報を士郎から聞き出そうとしているのだろう。

 ……さて、どうする?

 隠者の正位置:とりあえず遠坂が立ち去るまで隠れて様子を見る

 節制の正位置:ここは一旦弓道場を離れてしばらく学園内をうろつく

 愚者の正位置:あえて遠坂のいる弓道場に入る

 太陽の逆位置:……帰る

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最終更新:2007年03月23日 04:28