427 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/29(日) 03:43:49
「おーいえみやー、私の部屋はどこだ部屋はー」
たっぷり三杯もおかわりした蒔が言った。
「蒔、君はもう少し慎みを覚えた方が良いだろう」
「いーじゃん、どーせ衛宮なんだぞー? あのお人好し超人だぞー」
「あー、桜、これ頼めるかな?」
鍋を掻き回している衛宮氏が間桐嬢を呼んだ。
「なんですか? これ」
「余ったスコッチエッグを醤油と砂糖で煮るんだよ、まっとうな料理じゃないけど、明日には味が染み込んで良い味になってるはずだ」
似た料理なら知っている。
余ったトンカツを同じように調理する物だったな。
確か蒔の大好物で、一切れで一杯いけると言っていたな。
「なるほど、分かりました」
間桐嬢から殺気が消えて笑顔になる、頼まれると信頼されていると感じられる、嬉しいのだろう。
鼻歌交じりに鍋の中の様子を確かめている。
「ああ、藤ねえ、丁度良かった、風呂湧かしておいてくれるか? 俺は布団敷いてくるから」
「ん、分かったー、すぐ?」
「すぐがいいかな? 夕食も食べたことだし、ああ、それとついでに浴衣も人数分用意しておいてくれると助かる」
「分かったー、そんじゃついでに軽くお風呂場を掃除しとくねー」
「ん、頼むー」
「三人とも、部屋はどこが良いとか希望はあるか? 一応洋室も和室もあるぞ、洋間はあと一つしかないけど」
そんな言葉と共に、タオルで手を拭きながら茶の間に姿を見せた。
「んじゃ私は洋間に一人が良い! マンション的に!」
この家は屋敷だが、薪の家は旧家だ、洋室に憧れているのだろうな。
「私は静かな部屋を頼みたい、騒がしくなければどこでも良いぞ、男性と相部屋でもな」
この家に夜這いをするような危険な男性はおるまい、家主殿はいうに及ばず、カール氏も六道氏も紳士であることは疑いないと思える。
「えーっと、私は、どうしようかな」
「あの、良ければ私達と一緒の部屋にしませんか?」
「なのはちゃん? 良いの?」
「はい、出来ればお話とかしたいです!」
「うん、それじゃそうしましょう」
年下に好かれる性格である由紀香はなのは嬢、フェイト嬢と一緒の部屋で寝るようだ。
由紀香のほんわかした雰囲気を褒めるべきかあの剣呑な状況下でそれを見抜いた二人の眼力を評価するべきか迷うところだ。
「ふむ……良い部屋だな」
通された和室は広さや雰囲気など、私の好みの部屋であった。
「まあ、俺の隣の部屋なんだけどな」
良いながら、手慣れた手つきで布団を敷いている。
「ああ、別に構うまい、君は騒いだり突如泊まりに来た隣の部屋の女性に夜這いをするような男では無かろう?」
「んなっ……当たり前だろ」
おお、赤くなる赤くなる。
時折床を共にするような恋人が居るであろうにこの性格は希少なものだな。
「シロウ、私ならいつでも夜這いしてきていいよー?」
いつのまにか背後にイリヤ嬢が立っていた。
そして襖の向こうに赤い服が見えている。
……遠坂嬢も堂々と出てくれば面白いのだが。
「イ、イリヤ、女の子が冗談でもそう言うことを言う物じゃないぞ」
「え? 私は本気だよー? えいっ!」
そう言って思い切り飛びかかるイリヤ嬢。
「そうだ、シロウ、一緒にお風呂に入ろ! それとも私をたべるー?」
なんというか、猛禽類が補食対象を捕らえるときのような動きだった。
……これは私が寝る布団なのだがこのまま床を共にする気なのか、イリヤ嬢は。
そして襖の向こうでも音がした。
ははは、イリヤ嬢は本気のようだ、さあ、間桐嬢はキッチンだが再び修羅場を観察しよう。
最終更新:2007年05月21日 01:15