456 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/30(月) 04:09:01

「し、士郎ー! なに押し倒されて鼻の下伸ばしてんのー!」
遠坂嬢がとうとう踏み込んできた。
怒りも露わな様子。
寺の子の話通り、相当な猫かぶりだったと今ようやく実感した。

「どうしたのリン、レディーはいつも優雅に、でしょ?」
「それとこれとは別よー! ていうかアンタが優雅じゃないわー!」
確かに淑女は押し倒すとか言ったことは滅多にしないという意見には同意だ。
というか衛宮氏、呆然としすぎて逃れると言うことを忘れて居るぞ。
「んー? 逃げないって事は、シロウってば実は期待してた?」
『あ』
逃げるのを忘れた衛宮氏と、引き剥がすチャンスを逃した遠坂嬢が同時に声を発する。
そして再びイリヤ嬢が氏の首筋を舐めたりキスをしたり耳を噛んだりしている。
……犬が親愛の情を示すような物だろうか。
「期待してたのなら満足させてあげるよ……ふふふ」
なんとも妖艶な笑みを浮かべるイリヤ嬢、実に末恐ろしい事である。
それにしても、布団は無事なようだが氏は舐められてべたべただろう。
いや、待てよ、満足させるというと……まさか。
「ちょ、ちょっと! 二人! 見てないで助けてくれー!」
両腕と体重で腕を押さえると器用に足で服を脱がし始めた。
そこで飛びかかろうとした遠坂嬢を軽く後ろから抱き留める。
この光景は見ていて飽きないというか、ずっと見ていたい気持ちになる。
自然と笑みがこぼれてしまうのもある意味で道理であろう。

「待ちなさーい! 二人ー!」
うがーと叫んで振り解くてイリヤ嬢を引き離す。
どうやら似たような事を考えていたらしい。
氏に集中していたのと身軽なこともあってあっさりと引き剥がされた。
「リンもしたいならそう言いなさいよ、意見をちゃんと言うことは誰にとっても大事よ?」
「んなっ……」
おお、遠坂嬢が耳まで真っ赤に。
……貴重な瞬間だ。
「ほら、私はもう楽しんだから、リンも行きなさーい!」
おお、後ろに回り込んでタックルを。
そのまま遠坂嬢が氏に向かって転がり込んで。
……なんとも古典的な。
「あ……」
「う……」
先程のイリヤ嬢のからすれば随分と軽かったが……二人には随分と衝撃的だったようだな。

「ふふふ……カネ、私達は一回退散しましょう、むしろシロウの部屋から覗き込んだ方が面白いかもしれないわ」
「……ふむ、一理ありそうだなイリヤ嬢……ではごゆっくり」
思わず笑みをこぼし、イリヤ嬢と連れだって宛がわれた部屋から退散する。
……まあ、そうなることはなさそうだが、その結論に至までの二人というのは面白そうだ。


ああ、うむ、その、なんだ。
非常に気まずい。
「その……なんだ」
「うん……」
体勢が良くない。
先程遠坂が転がってきた体勢そのままである。
具体的に言うとマウントポジションな状態で、顔も非常に近いです。
あとそれからイリヤの魔術のせいなのか体がうまく動かせません。
「と、とりあえず、上に乗ってるのはやめてくれるかな?」
「あ、うん……」
バッと遠坂が飛び退く。
沈黙が降りる。
「士郎」
ややあって遠坂が口を開く。
「……とりあえずお風呂入ってきたら? ……話があったらその後で」
「ん、そうだな……とりあえず入ってくるよ」
出来うる限り冷静に、平成に返答する。
舐められているときは思わずゾクゾクしてしまったが冷静に事が終わってみれば体中がベトベトしてるなー……
何てことを、冷静になって思い返す。
うん、ここは遠坂の助言通り風呂にはいる事にしよう。
ベトベトになった服を洗濯機に入れ、風呂場のドアを開けた。

すると――


あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!:部屋にいるはずのイリヤと氷室が既に風呂に入っていた
ここは満員だ……逃げることは……できねーぜ……:一番風呂で入っていたはずの蒔寺がまだ入っていた
この肉体にしっくりなじんでパワーが今まで以上に回復できたぞ:「あ……」三枝さんとなのは、フェイトの三人が入っていた
最高に『ハイ!』ってやつだ!:「おや、ミスター?」ルヴィアさんですか?
ロードローラーだッ!:鼻歌交じりの藤ねえが振り向いた。
おれが時を止めた…… 9秒の時点でな……:「おや、士郎?」ライダーが入ってました。
第3部 完:よく沸いた湯が張られている、リラックスできそうだ。

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最終更新:2007年05月21日 01:17