543 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/02(木) 05:07:55

interlude――

某日・新宿『外地会事務所』

「おや、こんにちは、お久しぶりです」
■■さんは笑顔で私を迎え入れた。
「こんにちは、あの、■■さんは?」
「ああ、■■さんなら奥の部屋で事務作業をしていますよ、何かご相談ですか?」
「ええ、ちょっと――」

奥の部屋に向かう。
目的の人物はそこに居た。
「どうした、■■、女がこういうところに一人で来る物ではないぞ、俺だって■■■を連れてきたことは」
「あ、いえ、ちょっと相談があって」
分かっていて来た、『あの時』とは違い、無闇に足を踏み入れて良い場所ではないのだと理解している。
私は既にただの女子高生なのだから。
「相談? なんだ?」
手にした書類を置き、話に集中しようとしてくれた。
私は自分の悩みを話した。
私が関わった『あの事件』は既に私にとって過去の物だ。
だが、夜になるとあの事を思い出してしまう。
夜になると、苦しくて目が覚めてしまう、近頃は特に酷いのだ。
「ああ、なるほど――」
無言だった■■さんが少しだけ笑う。
「そいつはな、新兵が罹る病気だと思え、大したことはない」
「でも……」
「そうだな、前来たときに■■も■も似たようなことを言っていた、だからな、こいつを使え」
机から白い粉を取り出す。
「それってまさか……」
「安心しろ、お前が考えているようなヤバイ代物じゃない、外地会はそう言うことはしないからな」
似たような物だが、と笑う。
「そいつは俺が新兵だった頃から使っている物だ、アフリカの呪術士に貰った薬物でな、飲んで寝れば落ち着ける」
「似たようなモンじゃない……」
「ああ、次の日同僚からは言われたよ、まるで何十年も修羅場を潜ってきたように見えるってな、あいつらにも似たような雰囲気を感じたんじゃないか?」
言われて考える。
言われてみれば、二人とも、時期はバラバラだが不思議と落ち着いていた時期があった。
「今は二人ともバカばっかりやってるけどね」
「はは……あいつららしいって事だ」
二人で笑い合う。
「……うん、ありがとう■■さん」
白い粉を受け取る。
「一つ言っておくが注射器とかは使うなよ、水で飲め」
「はは、わかってますって」

その夜、私はその薬を飲んだ。

――interlude out

544 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/02(木) 05:09:30

脱衣所で歯を磨いていると、風呂場で笑い声が聞こえた。
あの三人は気が合うからと思っていると、自分のマスターとなった人、衛宮士郎の笑い声が聞こえる。

マスター、そしてサーヴァント。
聖杯戦争と呼ばれる殺し合い。
与えられた情報では、召還された存在は道具として扱われる。
だが、私を召還したあの人は逆に安らぎと団欒を与えてくれた。
団欒。
それはある意味で私が求めた物だ。

――ああ、ソンなことを考えるのは私らしくないな。
鏡に向かって笑顔を作る。
「うん、よし」
笑顔で風呂場のドアを開ける。
その途端に、お湯をブチ撒けられた。


笑顔のまま、キャスターが固まっている。
お湯を掛けられたフェイトが背後の涼しさと目の前の固まった面々に不思議がり、振り向く。
「あー……瞳、すまん」
ブチ撒けた士郎がとりあえず頭を下げる。
笑顔のまま洗面台に戻り、ホースを取り出し、蛇口に取り付け、思い切りコックを捻った。

「冷てっ! 水! それ水! 痛い! ホースの口を絞るな! 冷たくて痛いって!」
冷水を入り口から風呂場に向けて放水する。
「あはは、冷えろ冷えろー!」
歯を見せて笑っているあたり、ノリノリである。
自分の服が濡れているとか、何故に彼女たちと一緒に士郎が入っているのかとか、そう言ったことはどうでもよくなった。
ただひたすらに楽しみたいのだと思った。
脱衣所から風呂場に入り込み、尚も放水する。
「そのつもりならばー!」
冷水のとばっちりを受けたなのはが浴槽から湯を名城にブチ撒ける。
「ふっふーん、なのはちゃんも参戦するのね?」
放水を顔に受けて浴槽に倒れ込む。
「そ、それじゃ私も」
何かする前に三枝さんは放水を受けて目を回した。


「くはー!」
最終的にその場の全員が疲れ果て、風呂場に倒れ込んだ。
「……なーにやってんだろーね、私達」
「ああ、まったくだ」
倒れ込んだまま互いの手を握る。
「ま、童心に返って楽しかったって事で一つ」
「……そだね……」
「とりあえず暖まらないと……寒い」
フェイトがよろよろと起き上がり、浴槽に入り込む。
何かする元気は残ってなさそうだ。
「んー、私も……」
ふらふらと、それぞれのタイミングで浴槽に戻る。
だが士郎とキャスターが満足げに倒れたままだったので、とりあえずシャワーのお湯で暖めることにした。


「……なにやってたんだろ」
二着目の浴衣に袖を通して言った。
「瞳ちゃん、サイズ合う?」
三枝さんが聞いた。
とりあえずで脱衣所の棚から出した物なのでサイズの確認はしていなかったのだ。
「ん、大丈夫、それにしても、こんなに服のストックがあるなんて凄いわね、趣味?」
「いや、違うぞ、この家は広いし、いつ誰が転がり込んでも言いようにしておいただけだ」
それを始めたのはバゼット、カレンペアの時からだけど。
浴衣の大半は余り布で作った物だから手間はともかくいくらでも作れるし。
だから決して趣味なんかではないのだ、うん。


飲茶会談:「うん、とりあえず、お茶でも飲もうか」四人を誘うことにした。
武道一直線:「おや?」バゼットさんが脱衣所にやってきた
疑惑暴走機関:「……え?」桜が脱衣所にやってきた
世界ふしぎ発見:「……ん?」今廊下を誰かが……

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最終更新:2007年05月21日 01:29