585 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/04(土) 03:25:36
「うん、とりあえず、お茶でも飲もうか」
多少暖まったとはいえ、火事の現場の救助じゃないんだから冷水はさすがに体に良くない。
少なくとも体の奥から茶で暖めようという事で四人を誘う。
「そうしましょう、なんかちょっと寒いしね」
「そうですねー、でも楽しかったですよ?」
「次からはお湯を出すことにするわ……」
ああ、そういえば途中でフェイトがホース奪ってたからな。
「あはは、それじゃ今度は最初から一緒に入りましょう、ね?」
そんなこんなで全員が賛同してくれた。
「ん、それじゃあ煎れてくる、茶の間で待っててくれ」
「はーい」
台所に入り、まずお湯を沸かし、その間に鍋の様子を確認する。
指で汁を掬い取り舐める。
「……ん、よく良い味だ、桜、こういうのもうまくなったなぁ……」
鍋の蓋を閉める。
朝までに味は染み込むだろう。
「よし、とりあえず煎茶にしよう」
湯の温度は……これでいいか。
茶葉を急須に入れて湯を入れる……90秒。
もう少し香りが欲しいところだが、香りが深すぎると思わず顔を顰める人もいるだろうから香りは軽めに……
「できあがり、っと」
とりあえず、十人分も入れておけば足りないと言うことはないだろう。
「お茶出来たぞー」
茶を盆に乗せ、茶の間に顔を出す。
……なんですか氷室さんその冷徹な目は。
「一緒にお風呂か」
はい、その通りです。
「年頃の女性が居るとはいえ、妹連、家族までなら……まあ良いとしよう、だが由紀香は君の妹ではあるまい」
ソウデスネ。
「その辺りの事情をたっぷりと聞かせて貰おう、たっぷりとな」
「あ、あの……それは私がどうぞって言ったから……なんだけど」
三枝さん、真っ赤になって言う姿はとても可愛いんですが、冷静に考えてください、それは途方もない爆弾なんじゃないでしょうか。
「……ほう、この家の女性だけに飽きたらず由紀香までか」
そこで笑みを見せますか氷室さん。
「へえ、そうだったんだ、気付かなかったわ、衛宮君」
「そうね、一日一緒にいたけどぜーんぜん気付かなかったわ」
遠坂、イリヤも、背後に黒い炎を背負うのはやめなさい。
……桜とライダー、藤ねえが居間にいなくて助かったが、今現在でも命が危ない。
遠坂一人でもこの状況では命が危険だ。
しかも危険は増大する可能性がある。
心臓の鼓動が聞こえる。
生き残る為の方策はないか、全身の細胞が脳細胞と同様に考え出す。
下手に動けない、下手に言葉も発せない。
緊張からか呼吸が出来ない。
熱かったはずの湯飲みの熱さが感じられない。
「ま、いいんじゃないの」
「瞳嬢?」
キャスター?
「士郎……兄さんが私達に欲情して襲いかかってきたとかならこういうのも分かるけど……そう言うことはなかったし」
「……そう言う問題かね?」
「ま、納得いかないなら今から一緒に入ってきたら? 私は構わないけど?」
「んな――!」
おお、遠坂と氷室がキャスターの言葉に怯んでいる。
でもキャスターの顔は『そっちの方が面白そうだし』と言わんばかりの、何か企んでいる顔だ。
「そ、そうですね、納得いかないなら入ってきて貰った方が良いかもですね」
なのはも同意見らしい、その理由はまるで違うだろうが。
「いや、私は、一緒に入りたいわけではなくてな……」
「そ、そう、問題にしてるのは士郎のことよ」
「ふーん、そう? なら私はシロウと一緒に入るわ」
妖艶な笑みを浮かべてイリヤが飛びかかってくるのを受け止める。
「ね? シロウ、もう一回はいろ?」
イリヤが首に抱きついてぶら下がっている。
「あー、えっと」
……どうしたものか。
最終更新:2007年05月21日 01:34