175 名前: 運命夜行 ◆ujszivMec6 [sage 戦車の正位置] 投稿日: 2007/04/02(月) 20:50:47
「ああ、オレとしても遠坂がここにいたのはむしろ好都合だ」
「ふーん。覚悟を決めたってわけね。それなら……」
早速、本題に入ろうとする遠坂に、ある物を手渡す。
「……なによこれ」
「見てのとおり雑巾だが」
ちなみに、士郎の足元にあったバケツから拝借しました。
「そうじゃなくて、なんで雑巾をわたしに?」
「雑巾でやることっつったらひとつだろうが。オマエも掃除を手伝え、遠坂」
「……は?」
話の急展開っぷりについていけないらしく、開いた口の塞がらない遠坂。
それを見かねて、士郎が声をかけてきた。
「おい、杏里」
「なんだ? 士郎」
「なんで遠坂に掃除を手伝わせようとしてるんだ?」
「なんでって、人数多い方が早く終わるだろ? あ、もちろんオレも手伝うぜ」
「む、それはありがたいけどさ。何も遠坂にまで手伝わせることはないだろ」
「いや、冗談だって。いきなり掃除を手伝え、と言われて喜んで手伝う奴なんてそういないだろ?」
いるとしたら、目の前のお人好しくらいで……
「……いいわ、手伝ってあげる」
「……って、なにぃ!?」
予想外のカウンターに思わず叫んでしまった。
「なによ、手伝えって言ったのはそっちじゃない」
「いや、確かに手伝えとは言ったが……」
むしろ追い返す口実のつもりだったんだがなあ。
「いいのか? 遠坂」
「ええ。たった二人じゃ、この弓道場の掃除は大変でしょ?」
「でも、いくらなんでも遠坂にまで手伝わせるのは悪いだろ」
「そうそう、手伝えってのは軽い冗談のつもりだったんだし。つーか掃除の邪魔だから帰れ」
士郎は素で遠坂に悪いと思っているようだが、オレとしてはさっさと遠坂に去ってもらいたいのだ。
「そうね、じゃあ掃除を手伝う代わりに、今夜、衛宮くんの家で夕食をご馳走してもらう、ていうのはどうかしら」
……そうきたか。
「ああ、それはいいけどさ、なんでまた俺の家に?」
「士郎くんの作るご飯って美味しいって評判でしょ? だから、一度食べてみたかったのよ」
「わかった。そういうことならお安い御用だ」
士郎はあっさりと了承してしまった。
「おいおい、本気かよ」
「別にいいだろ、夕食くらい」
「じゃあ、楽しみにしてるわね」
遠坂が掃除を始めた隙に、弓道場の隅に士郎を引っ張ってきた。
「なんだよ杏里」
「シーッ、遠坂に聞こえないように注意しろ」
「だから、どうしたんだ。さっきからなんか変だぞ」
「いいから、オマエに話があるんだよ」
士郎に、これだけは伝えなくてはならないのだ。
節制の正位置:家に魔術師の客が来てるんだ
隠者の正位置:遠坂はたぶん魔術師だ
愚者の逆位置:オレ、今日の晩飯はハンバーグがいいな!
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最終更新:2007年04月17日 05:12