352 名前: 運命夜行  ◆ujszivMec6 [sage 節制の正位置] 投稿日: 2007/04/16(月) 23:51:56

 そうだ、今は家にバゼットがいる。アイツを口実にして遠坂にはお引取り願うとしよう。
 そもそも、オレが士郎を迎えに来たのは、バゼットのことを伝えるためだしな。

 士郎に怪我をしたバゼットを助けた事、今は家にバゼットがいることを簡潔に話す。
「……というわけでだな、今は家に客がいるから遠坂は呼べないぞ」
「なんでさ、バゼットって人が家にいるのはわかったけど、別に遠坂を呼んでも問題ないだろ」
「いや、それがあるんだよ。どうやらバゼットも魔術師らしくてな。それでオマエをわざわざ迎えに来たんだ。
 遠坂がいたんじゃ、魔術の話とかできないだろ?」
 遠坂も魔術師かもしれない、ということは伏せておく。かえってややこしくなるし。

「確かに遠坂の前で魔術の話はできないけどさ、その人怪我してるらしいし、今夜は家に泊まっていくんだろ?」
「んー、まあ、そうなるだろうな」
 つーか、バゼットを家に泊めてもいいかどうかも士郎と相談するつもりだったんだが。
 まあ、士郎の性格からして反対はしないだろうとは思っていたけどな。
「だったらさ、魔術の話は遠坂が帰ってからでもできるんじゃないか?」
「そりゃそうだが……」
「それに、もう遠坂に掃除を手伝ってもらってるし、今さらやっぱり家には呼べない、なんて言えないだろ」
「む……」
 確かにここで遠坂を追い帰すのには無理があるか。
 家に来たところで「客が来てるから」とバゼットを出汁にして、さっさと帰ってもらった方が上策かもしれない。

「……仕方ねえな。とりあえず今夜の晩飯は、遠坂の分だけじゃなくバゼットの分も頼むわ」
「任せろ。一人増えるのも二人増えるのも大差ないしな」
 士郎はそう応えて、自分の担当場所の掃除に戻った。
 ……さて、それじゃオレもちゃっちゃと手伝うとしますか。

 三人がかりだけあって、掃除はあっという間に終わった。
 ……なんか、赤いのも掃除を手伝っていたような気もするが、気のせいということにしておこう。
 時計を見ると、まだ六時前だ。とはいえ、冬なのでもう既に日は暮れかけている。
「でもまあ、なんとか門限の前には終わったな」
「ああ、俺一人だったら確実に夜遅くまでかかってたと思う。遠坂もありがとうな」
「ええ、どういたしまして。その感謝の分、美味しい料理を料理を期待してるわね」
 ……うーむ、家に来ると言い出したのは、オレや士郎のことを探るためだと思っていたのだが、まさかコイツ本当に士郎の料理が目当てなのか?

 弓道場の鍵を職員室に返して、校門へ向かう。
 門限ギリギリの時間だけあって、もうほとんど生徒は残っていない。
 そして―――

 力の正位置:校門を出ようとしたところで男の声がした「なんだ、お前らもう帰っちまうのか?」

 教皇の正位置:交差点まで来たところで長身の神父と銀髪のシスターに出くわした「おや、凛ではないか」

 戦車の逆位置:家の前まで来たところで誰かの悲鳴が聞こえた「うわーん! 切嗣さんの家がヘンなのにのっとられちゃったぁーー!」

 節制の正位置:何事も無く家に帰った「おかえりなさい、アンリ」

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最終更新:2007年04月17日 05:17