698 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/07(火) 03:08:18
断末魔の一瞬! 士郎の精神に潜む爆発力がとてつもない冒険を産んだ!
普通の人間はおいつめられ危険を感じればそこから逃げようとばかり考える
だが士郎は違った! 逆に!
その危険に飛び込んだ!
『なに士郎? 大河君がおもちゃの鉄砲を持って行ってはなさない?
士郎 それは無理矢理引き離そうとするからだよ
逆に考えるんだ 『あげちゃってもいいさ』と考えるんだ』
一歩を踏み出しながらスポンジを拾い上げ、目標の背後に回る。
「ん……ふ」
突然触れられたというその感覚で遠坂の膝が落ちる。
「か、体中が……敏感に、なって……る」
氷室も瞬時に膝を落とす。
その機会は決して逃してはいけない、二人をノックダウンするチャンスはここしかない。
逃げようとすれば逆転されることは間違いないと確信している、ならばここで倒しきるのみ――!
感覚が伝播している。
スポンジ越しの柔肌の感触を感じ取る。
そしてその感覚は倍加して触れた者に伝わっている。
更に己の背中にフィードバックする感覚は、紛れもない快楽だ。
だがその快楽に溺れてはいけない、今は、ただ背中を洗っているだけなんだから。
だがそれでも意識が薄れていく。
「ん……」
氷室からくたりと力が抜け、倒れ込む。
倒れ込もうとする身体を支え、壁に支える。
「士郎……なにかこれ……ん……」
遠坂の声は弱々しく、反して息が荒い。
思考がぼやけていく。
身体の感触を楽しんでいる。
「シロウ……わたしも……」
イリヤが身体を擦りつけてくる。
息は乱れ、まるで質の悪い風邪にあてられたかのようだ。
何かが異常だ。
だがその異常の正体が分からない。
そうだ、あの決意すらも、何かに、操られていたかのようで……
床に倒れ込む。
意識が薄れて行く。
力が抜けて動けない。
何かに食べられている。
身体から血液が抜けていく。
そんな中で――
「ふふふ……シロウ、ごちそうさまでした」
紫色の影が見えた。
「……あれ?」
何をしていたのだろうか。
確か、話の流れで、遠坂達と風呂にはいることになって……
「う」
床に三人が倒れている。
「お湯を温めすぎたか?」
そのせいで湯気でのぼせて気絶してしまったのだろうか? 今は逆に身体が冷えてしまっている。
冷静に、指先で湯船の温度を確認する。
「……ん、今は丁度良いかな」
倒れている三人の意識を確認する。
皆似たような状況だったが、どうにか意識はあるようだ。
「みんな、床は冷える、湯船に入ろう」
「ん、シロウ、入れて――」
イリヤの身体を抱きかかえて湯船に漬ける。
続いて氷室、遠坂を後ろから抱きかかえて湯船に入れる。
入れてしまいさえすれば、身体を制御する程度のことはどうにか出来るようだ。
「しかし……」
弱ったことに入るスペースがない。
しかし身体は本格的に冷えている。
シャワーでは暖まらない、湯船という形は必要だ。
ならば――
最終更新:2007年05月21日 01:39