785 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/10(金) 04:19:14

とりあえず、風呂から出たことだし、少しぬるめのお茶でも煎れようと思っていた。
茶の間に誰が居るかだけ確認して人数分――
「なんでさ?」
ドレス姿の蒔寺が立っていた。
一見すればメタリックシルバーを基調とする、ビジュアルバンドのような派手さのみを強調されたドレスだが、
不思議とシックさを兼ね備えた逸品である事を理解する。
その秘密は恐らくドレス全体に施された帯状の色彩にあるのだろう。
首から腰に向かう不思議な色彩はどこか高貴さを感じさせる、暖かみの上に立つ黒色である。

ドレス所有者であろうルヴィアと、蒔寺の短い髪を楽しげに弄くり倒しているキャスター。
二人はもうなんというか超絶にノリノリである。
ルヴィアは次のドレスを見立てているし、キャスターは後ろに立って着付けと髪のセットを同時にこなしている。

「衛宮、どうした?」
茶の間の入り口で固まっていると、氷室が脇からひょいと茶の間を覗き込んだ。
そして固まった。
「どうしたの、シロウ」「士郎、一体どうしたのよ?」
そして更に後ろからイリヤ、遠坂が茶の間を覗き込み、見事に固まった。


「な、なんだよぅ、笑えよぅ、似合わないのは分かってるから、固まってないで笑ってくれよぅ!」
言葉の終わる頃にはうきーと暴れ出す蒔寺。
「あー、ほら、楓、暴れると髪が乱れるから、暴れないで」
キャスターが髪の毛をキープしながら後ろに張り付く。
……器用だなぁ。

それにしても幸か不幸か、ルヴィアの用意した無数のドレスは、どれもこれも外見からは想像も出来ないほどアクティブな仕様らしい。
ピッチリとした見た目にもかかわらず、間接部は体操服のように十分な余裕を持って暴れる身体を包んでいる。
「いや、結構似合ってるぞ、蒔寺」
普段とのギャップでもの凄い違和感はあるけど。
「うんうん、私は普段のカエデって知らないけど、可愛いわよ?」
「ああ、可愛いな」
「な……なー!」
おお、動揺している。
「こっ……こっ……こっ……」
ニワトリ?
「……この色情狂め!」
なんでさ。
延髄への強烈な跳び蹴りを食らいながら思った。
振り抜いた跳び蹴りは良い感じで衝撃を脳天に伝えて意識を弾き飛ばす。
だがそれだけの跳び蹴りをしてもなおドレスは破れる事無く身体を包む。
そしてキャスターも跳び蹴りに合わせたジャンプで跳び上がり髪の毛のセットを終えた。
……って、凄すぎるだろう。
薄れる意識の中でそんなことを考えた。
「どんだけ自然にこっちの顔赤くさせんだあんたって奴ぁー!」
倒れ込む身体をもう片方の足のハイキックで逆方向のベクトルを与える。
続いて踵落としを心臓に向けて叩き付ける。
なんというか、吹き飛ばされた意識が一気に戻るほど痛いです。
「いや、蒔、これ以上やると死ぬぞ」
「えぇい、構うもんかい、こんな天然エロスを放っておいたら世の中みんなで衛宮の血筋を誕生だい!」
ちょっと日本語が変ですよ蒔寺さんや。

「でも、実際似合う物ですね……予想外なほどに」
そういえばルヴィアの服装がドレスじゃなかったような気がする。
アレは……蒔寺の服だろうか。
「だったら……このドレスなんかどうかな? 派手系はいくつかやったし、シック系も似合いそうじゃない?」
「それなら……青系統の色よりもむしろこっちですわね、シンプルな純白は私の好みでもある事ですし」
「あ、アンタらそれは……ウェディングドレスだろー! 相手いねーっつーの!」
蒔寺は、ノリで『ドレスを着てみたい』と言ってしまった数時間前の自分の言動を激しく後悔していた。
「? そこにいるじゃない」
何言ってるの? と言わんばかりにキャスターが首をかしげ。
「ええ、そこに転がってますわ」
ルヴィアもそれに同意した。
「なー!」


黒豹の白ドレス装備形態:「……よし」気付いたらスーツに着替えさせられていた。
黒豹がスケスケ:「じゃ、それが嫌ならこれと言うことで」「ス、スケスケー!?」絶叫が耳に響いた
開戦のベル:「……残念、時間切れだ」有り得ざる警報が鳴った

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最終更新:2007年05月21日 01:43