800 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/11(土) 05:06:20
「じゃ、それが嫌ならこれと言うことで」
「ス、スケスケー!?」
絶叫が耳に響いた。
取り出された布は、ドレスと呼んで良い物か悩むような、極めて薄い代物であった。
手に持たれているのに、持っている手の全て見える。
とにかく、その位薄い代物であった。
「そ、そんな悩殺スタイル似合わねえよぅ……」
「似合うかどうか」
「やっぱり試してみないとねえ」
途方もなく邪悪な笑みを浮かべる二人。
他の面々は。
「ごめん、正直ちょっと見てみたいかも」
「私も好奇心を優先させたい」
「そうねー、わたしもカエデのスケスケ姿見てみたいなー」
「は、薄情なー!」
視線をそらした途端、左右に回り込まれて腕を捕まれた。
「隙ありー」
「ぬあー! ま、待ってくれー!」
蒔寺が隣の部屋に引きずられていく。
ルヴィアとキャスターのコンビネーションは、正に対象を捕食する唇と舌のようであった。
「ぬ、脱がさないでー!」
「ほほほ、却下ですわー」
「わー! どさくさに紛れてチチ揉むなー!」
「うわ、スタイル良いー……鍛えてるとこうなるのかな……」
「スタイルなら鐘っちのほうが良いから! 見逃せおんしゃらー!」
「はーい、脱がせたー!」
「はやっ! なんだその脱がせのスピード! アンタらも衛宮と同レベルの天然エロスなのかー!」
「あ、そうだ、この装飾品とか付けてみたらどうかしら?」
「グッドアイデアですわ」
「ぬあー、変な物付けるなー!」
「うーむ、普段どう思われているのかよく分かるな」
床に転がったまま、一言漏らす。
「では衛宮、実際の所どうなのかね?」
「何が?」
「脱がせるスピードだ、確かにあれだけのドレスを……一分も掛からず脱がせられるかね?」
腕時計を見ながら問うてきた。
「いや、やったことないしなぁ……」
「では今夜あたり間桐嬢で実践してみてはどうかね? ……なんなら立ち会ってやっても良いぞ?」
「んな……」
「いや、冗談だ」
そんなに顔を赤くされてはこっちも照れてしまいます。
「お待たせいたしました」
実に良い笑顔のルヴィアが顔を出す。
無言の蒔寺がキャスターに連れられて現れる。
その姿は。
なんというか。
「アマゾネス?」
あ、へこんだ。
遠坂、物言いが直接すぎだよ。
「いーさいーさ……エロスとかよりも戦いの装束の方がかっこいーさ……
こんな恥ずかしい格好だからって悔しくなんかないぞー、へーんだ」
「いや、似合っているという意味だと思うぞ」
「そ、そうよ、欲情されるよりはよっぽどいいでしょ?」
どちらにしろアマゾネスの野生ぶり等の印象は揺るぎもしないが。
確かに着ている服はスケスケだ。
緩やかな服装なのに身体のラインが丸わかりなあたりとか。
「装飾品に懲りすぎよ、前のドレスのエレガントさがまるでなくなってしまっているじゃない」
イリヤが残念そうに言う。
確かに、頭の飾りはともかく、腕に付いているアレは、弓を番えやすいようにアマゾネスが装備していた物では無かろうか。
明らかにアマゾネスな印象はそれらの装飾品の原因だと思う。
「イマイチ反応が悪いですわね、失敗だったかしら?」
「野性味方面重視だったのがダメだったのかな? やっぱり上品さは必要だったようね」
「それじゃそれを踏まえて次のドレス行ってみましょうか」
「というか二人はもう勘弁してやれ、あの蒔寺が本格的に涙目だ」
具体的には部屋の片隅に体育座りで某SAZAEさんのテーマを口ずさんでいる辺りが。
「……残念、でも納得」
「家主に言われたら仕方ないですわね」
「それじゃ片付けましょうか?」
「そうですわね、少し調子に乗りすぎましたわ」
話しながらドレスを丁寧に片付けていった。
他の面々はどうして良いか迷っているようで、ドレスの片付けを手伝っている。
そのまま、気遣っている様子を見せながらも、なんと言っていいか分からず、部屋を出て行ってしまった。
……少しフォローを入れておかねばいけないよな。
最終更新:2007年05月21日 01:45