892 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/13(月) 05:16:04

「……よし」
衛宮邸の周囲に民家はそれほど多くない。
そして諜報活動とは基本的に長期に渡る地味な物だ。
そう言った関係上、対象に気付かれぬ距離、位置から覗き込む等が基本となる。
サーヴァントにそう言ったことを任せるならば霊体化して行わせれば良い。
だがそうではなく、マスターが行うならば屋内という環境は必須だろう。

そういった前提で幾つか可能そうな家を脳内でピックアップしていく。


「みんな、提案がある」
「何?」
遠坂達を見つけ、話を切り出す。
「昼間の話、覚えているか? イリヤを迎えに来た男の話」
「この家に見張りが付いているって話でしょうか?」
ルヴィアが言った。
「ああ」
「それが何か?」
「襲撃を待つんじゃなくて、こっちから仕掛ける、というのはどうだろう?」
その言葉に遠坂が驚く。
「……驚いたわ、前の士郎ならキャスターを連れて……下手をすれば一人で乗り込んで行くと思っていたから」
フォローの準備はさせていたけどね、と続ける。
その言葉は確かに頷ける。
これまでの衛宮士郎ならば、きっと一人で危地へ乗り込んでいただろう。
「分かったって事だよ、一人じゃ限界がある、頼れるところは頼った方が良いってこと、そしてここには守るべき人達が居るって事もな」
足下を守らなければ、人を救うという高みは目指せない。
だからまず、この家という足下を守る事は大前提だ。

遠坂は無言のまま、口元で僅かに笑みを浮かべた。
「行動は遅いけど、集団行動の心構えは合格ね」
「……え?」
「大丈夫、今バゼットとセイバーの二人に偵察に出て貰っているの」
昼間の戦いを思い出す。
確かにあの二人ならば、戦闘になっても勝利、最悪でも二人とも生き延びて帰還することが出来るだろうと思える。
そして衛宮邸に戦力が集中する形となり、防衛能力にも問題はないと判断できる。
「それから、あの四人はちゃんと私が眠らせたし、なのはとフェイトにこの家の結界の強化もして貰っているの、多分そろそろ終わると思うわ」
「そ、そうか」
空振りに終わった結果に、思わず肩の力が抜ける。
「じゃあ、俺はどうすれば良いんだ?」
空回りに終わったやる気が走り出しそうにあふれている。
「私はセイバーと念話が出来る、だから意見を聞かせて。
 ロンドンから帰ってきたばかりでこの辺りがどう変わったかは情報不足、だから情報が欲しいの」
「ああ、そうだな……まずこの辺の民家で言えば霧島家とか怪しいな、ここから数百メートルの距離だし、今は家族旅行中の筈だ、それに……」
考えついた限りの怪しい場所を列挙する。
「……それから柳洞寺と学園の屋上、かな」
「ふぅん……」
少しの間が開く、先生と会話しているのだろう。
「……ビンゴよ、貴方の言っていた霧島家に監視者の痕跡を発見したらしいわ」


23:45・霧島家
鍵は掛けられていなかった。
数分間だけの、簡単な調査を行う。
「なるほど、旅行に出掛けた家にしては……」
セイバーが邸内を見渡しながら言う。
「ええ、そうですね、このゴミは新しすぎる、それに僅かですがジャンクフードの残り香もありますね」
ゴミ袋の中身を確認しながらバゼットが言う。
この臭いはバゼットにとって嗅ぎ慣れた物だ。
24時間営業で全国展開しているジャンクフードショップ。
彼女自身そこはよく利用したものだ。
「と、なれば間違いなく、ここに監視者が居た、と言うことでしょう」
「ええ、そうですね、でなければここをアジトにしていて、今は街へ出撃中、と言ったところですか」

『御名答』
声が響いた。


同時刻・衛宮邸
「――な、まず……」
遠坂の表情が変わった。
「どうした? 遠坂」
「発見されたらしいわ」
「な……」
「……悪いことは重なる物だな、私の斥候部隊から報告が来た、敵らしき連中が接近中らしい」
ジェネラルが言った。
「敵は何者? すぐに教えて」



ダブルクロス


第一群(霧島家)
再戦:「よぅ、セイバー、奇遇だな」ランサー、そしてタイタニア・ヴィルベルトがそこに立っていた
遭遇:「留守中に俺の根城に入ってくるなんて、随分な人達だね」夜だというのに、サングラスを掛けたままで男が呟いた
出現:「だが何者だ? この場所にわざわざ来るなんてな」そう言って武器を構えた。

第二群(衛宮邸)
挟撃:「敵は2方向から接近、バーサーカーらしいのが単独行動、もう一つは……群体らしい」
強襲:ジェネラルが何かを言う前に、黒い球体が衛宮邸の壁を吹き飛ばして突っ込んできた

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最終更新:2007年05月21日 01:48