310 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/11/28(火) 05:08:53

「士郎達が戻ってきたわね、意見を聞いてみましょうか」
その前に少しの間、互いにあった出来事を交換しあった。

ジェネラルは己の真名と宝具について話した。
「それじゃあさっきの吹雪は貴方が?」
「ええ、そうです、ですが貴方は気付いていたのではないですか? セイバー」
「……確証はありませんでしたがね、どこかの資料で見た顔だと思ったんだけですよ」
確証もないことを吹聴するのは失礼でしょうと続ける。
「……セイバー、貴方は一体何者なのよ?」
「はは、私は世間一般より少しだけ世界に詳しいだけの男です」
「はぁ……もういいわ」
答えをはぐらかされるのが分かっていたのか、疲れたように言った。

キャスターは説明する暇もなかったJ.B.の事を全員に語った。
J.B.<<Jack of Betrayer>>、裏切る者の名の通り、彼は彼女が関わったとある事件の裏で暗躍した。
ある大企業の首脳部に寧言を弄して己の思い通りに操った。
ある特殊な能力を持つ少女を執拗に狙い、誘拐した。
友人を巻き込みたくないと、事件から遠ざけられたキャスターの『避けられている』という思い込み、そこに発生した心の隙間に潜り込み

、催眠に掛け、利用することすらやってのけた。
そして最後には、最悪の事象を巻き起こした。
SC空間を利用した正常な認識の崩壊、それに伴って発生する都市・文明の崩壊。
それを可能とする兵器を発動させた。
「そして、あいつが召還されたのなら……きっと同じ事をするわ……だから止めないといけない」
全員が頷いた。
それぞれに頷くだけの理由があった。

「さて……それじゃあ最後に、貴方の事を聞かせて貰いたいわね」
会話の輪に加わらず、注意深く各人を見守るライダーによく似た女性。
紫の髪、均整の取れた身体、髪の毛の下から覗く鋭い眼光。
桜の窮地を突如として現れ救った女性だ。
「私は『ライダー』のサーヴァント……ただそれだけ、サクラを守り、幸せならば守り、そうでないなら幸せにしたいと考えているわ」
「『ライダー』……」
「ええっと……ウチにはもうライダーがいるから呼び方が被っちゃいますね」
あはは、どうしましょうとサクラが笑う。
「……ライダーでも、それが嫌なら呼ばなくても」
己を主<<桜>>を幸せにする、幸せを守るための道具と決めつけるように答える。
「それに、行動指針を決めるのでしょう? 私のことは空気だとでも思いなさい」
そんなことを言う彼女は、無視できぬ神秘性を帯びているように見えた。
「ふん、そうね――答えたくないならそれで良いわ、でもここに誓いなさい」
「なんです? 術師」
鋭い眼光が遠坂を射抜く。
「桜を守ると言ったのならば、守り抜く事、悲しませないことを、よ」
それは、かつて衛宮士郎が立てた誓いと同じ物。
「――ええ、誓いましょう」
一瞬の間の後、『ライダー』は応えた。
「それなら良いわ……それで、今後の事についてだけど……」

「飛行機って、落ちたらこんなに燃えるんだよな……」
士郎がぼんやりとそんなことを口にした。
「俺の家は結界のおかげで助かったけど、そうじゃない家はたくさんあるよな」
遠坂を見やる。
「だから俺は救いに行きたい、落ちた先の人を……誰かが泣いているならば、助けたいって思う」
現在の衛宮士郎は間桐桜の味方だ。
そして間桐桜は正義の味方を目指している。
だから衛宮士郎は正義の味方を放棄しては居ない。
衛宮邸という己の足下を忘れたわけじゃない。
誰かが泣いているならば助けたいって思う。
「はい、賛成です! 私達に救う力があるのなら、助けるべきです!」
なのはが元気よく手を挙げる。
「そうですね、私達の戦いは避けられないとしても、無関係な人達はできうる限り無関係のままで居て欲しい物です」
セイバーも賛同した。
「……ホントに似通った思考してるわね、貴方達」
遠坂は少しだけ諦めたように言った。
「桜、腕の傷はどう?」
「大丈夫です、血も大体止まったし……ッ!」
突然腕の傷を掴まれ、桜の顔が歪んだ。
「無茶はしない事ね……ルヴィアとジェネラル、それにライダー、家の留守と桜を頼める?」
無言で頷く。
「なら決まりね、私達と士郎、バゼットのチームでS市へ向かい状況を確認する、戦闘は可能な限り避ける、それで良いわね?」
「ああ、文句はない」
「じゃあすぐに準備をして、さっさと行くわよ」


救助:S市へ向かう途中、倒れた人を発見した
静寂:S市は不気味なほど静まりかえっていた
空戦:S市では大規模な空中戦が行われていた
陸戦:空中戦に呼応するように陸上でも戦いが行われていた

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最終更新:2007年05月21日 02:01