580 名前: 371 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2006/08/12(土) 14:06:38
「実は……遠坂のツインテール部分が落ちてたんだ」
……はて?
俺は一体ナニを口走っているんだろう?
「……はい?」
セイバーの目が思わず点になる。
そりゃそうだ、なにせ言ってる俺にだって意味がわからない。
「それは……凛の髪の毛、ということですか?」
「いや、そうじゃなくて。ほら、遠坂の頭の両隣にくっついてる二本のアレ」
しかしもう後には引けない。
俺は自分の頭の両脇をちょいちょい、と指差してツインテール部分をジェスチャーする。
当然のごとく、セイバーはジト目で俺を睨んできた。
「……シロウ。いくらなんでもそんな荒唐無稽な話を信じるとでも?」
「俺もそう思っていたんだけどな……甘かった。遠坂のあの部分な、分離できたんだよ」
「なにをバカな……シロウ、いい加減に――」
「いや、でもほら、遠坂だし」
「む……確かに凛ほどの魔術師ならば考えられなくはないですが……」
うわ、なんかセイバーが一転して信じるほうこうで考え始めてる!?
自分で言い出しておいてなんだけど、信じるか普通!?
あ、でも以前桜が遠坂からの脅迫状を見つけたときも同じようなリアクションしてたような。
恐るべし遠坂の説得力……!
「それで、流石にそんなものを放っておくのは不味いだろ?
それに、どういう理屈で取り外せるのか興味もあったし」
「も、もしや、土蔵に篭っていたのはそのため……!?」
「うむ。『解析』してみた結果、アレは単体での行動が可能な上に、
片方で魔力20%アップ、両方で40%アップ、おまけに清潔水洗いも可だ」
ああ、もはや自分でも何を言っているのか判らない。
しかもだんだん本当にそうなんじゃないかって思え始めてきたのが恐ろしい。
「なんということだ……あのお下げにそんな秘密があったとは……!」
セイバーもとうとう本気で信じてしまったらしく、深刻そうな顔で俯いている。
真面目な性格だとは思っていたが、ここまでとは。
正直、良心がチクチクと痛い。
「で、そのお下げは何処に……!?」
「いや、実はついさっき土蔵の窓から外に飛び出していっちまった」
「なんですって!?」
ひとりでに窓から脱走するツインテール。
想像してみただけで、かなりシュールな光景である。
「すまないがセイバー、探すのを手伝ってくれないか?
なるべく他人に知られないように頼む」
「判りました。早急に見つけ出しましょう!」
言うなり、あっという間に駆け出していく。
すまん、セイバー。
遠坂のツインテールが見つかる確率は、ツチノコよりも低いんだ……。
……さて。
何故だか知らないが、死刑執行書に自らサインをしてしまった気がする。
一抹の不安を覚えながら、俺が土蔵の中へ引き返すと……
α:待ちくたびれてふて腐れている水銀燈がいた。
β:土蔵の中のガラクタを見上げている水銀燈がいた。
γ:って、いない!?
投票結果
最終更新:2006年09月03日 17:44