529 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/12/06(水) 04:31:37

「どうしてこんな事をするの!?」
獣を蹴散らすように、何のひねりもない純粋な魔力で吹き飛ばしながらなのはが叫ぶ。
「どうして? そんなことは決まっているだろう? 聖杯が欲しいからだよ!」
走り回りながらカラシニコフを三点射で撃ち出す。
その、少女を小馬鹿にしたような表情は、ひたすらに少女を悲しませる。
「人を傷つけて! それでかなえた願いなんて、誰も幸せになれはしないよ!」
「そうかな? 少なくとも僕は幸せだ! 根源へ辿り着けばもっともっと世界を知ることができる!」
蹴散らされた獣の数だけさらに闇より獣を召還する。
「僕は何をしてでもあの知識が欲しい、そうさ、脳の肉欲を止めることはできないね! あの圧倒的すぎる知識、あれを我が手にする! それを邪魔するお前は敵だね!」
「何かを知りたいならまだ読んだことのない本を読めばきっと新しいことが分かるはずです!」
「そんなありふれた知識はいらないね! 俺が欲しいのは世界そのものの知識さ! その為なら世界が滅んだって構わないね!」
そう言って男は笑う。
知った世界が消滅したとしても構わないと、男は宣言していた。
話をすることすらできない。
なのはもそう認識せざるを得ないほどの歪み。
――でもね、人を殺してでも聖杯を手に入れようとする輩はいるわ
なのはは凛の言葉を思い出す。
「だったら……」
力強い意志でもって相手を睨み付ける。
――だから、一般人に被害を与えるような輩は
「今この場で、『再起不能になって<<リタイアして>>』もらいます!」
<<Cartridge load!>>
レイジングハートと共に、強い意志を持ってここに宣言した。


攻守は既に逆転している。
一度握られた主導権は簡単に奪い返すことはできない。
故に逆転の手段は力業のみ。
少なくとも彼女はそう判断した。
<<Arc saber>>
敵セイバー周囲の地面に魔法を撃ち込み煙幕を放ち、さらにそれに隠れるように脚部を狙い、後退する。
「くうっ……」
それでも行動を予測されているのか雷撃が彼女を掠めて後方へ飛び去る。
更には足を狙う一撃が回避されるのがシルエットで見えた。
雷撃を回避しながら、あくまで地面を這うように飛行する。
空中へ逃げれば砂埃という煙幕を利用できない。
牽制の魔法で攻撃しながら周囲を取り囲みながら飛行、相手の注意が逸れるのを待つ。
だが、注意を逸らすことなどありはしない。
確実に対象を捕らえるべく第二の魔術が発動する。
「死神の軍勢<<Army of Hades>>」
砂煙を吹き飛ばしながら、フェイトに向けて呪詛の軍勢が放たれる。
「ッ……! 貫け、豪雷!」
フェイトの手に雷が集う。
「サンダースマッシャー!」
呪詛の群れに雷光が直撃し、呪詛を散らしながらセイバーに直撃し、蹴散らされた砂煙が再び舞う。
だが、散らされた呪詛は消失せず、更にフェイトを狙う。
「まだ来る!? でも、直撃したはず……!」
そこに油断はない、直撃の確認と同時に後ろに下がり、呪詛の追撃から逃れる。
だが、両者の距離は詰まっている。
サンダースマッシャーの直撃と同時に位置を完全に把握し、セイバーが全力で地面を蹴って跳びかかってきた。
「女神の剣<<Blade of Artemis>>」
その手に握られたのは双剣ではなく一本の巨剣。
地面に穴を穿つ踏み込みから発生した速度も、振り下ろされる剣も既に音速を超えている。
バリアジャケットなど関係なく、回避しきれなかった左足を切り裂かれる。
切られた部分から鮮血が舞う。
「ッ!」
だが痛みなどに頓着しない、する余裕など無い。
左足はまだ身体についている。
それだけ分かれば十分で、巨剣を振り下ろしたその隙を逃さない、この事が重要なのだと、どこかで冷静に考えている。
その冷静な部分のおかげか。
「……捕まえた!」
ライトニングバインド。
不可視の魔法陣に触れた瞬間に発動する捕獲魔法。
捕獲可能時間は数秒だろうが、その数秒で十分。
呪詛、そしてセイバーから距離を取り、カートリッジを装填する。
「フォトンランサー……」
フェイトの周囲に雷<<フォトンスフィア>>が出現し
「ファランクスシフト!」
無数の雷撃が放たれた。


憎悪と激怒:弾幕に晒されて尚、セイバーは口元に笑みを浮かべる
怒りの塊:弾幕の中、セイバーが恐ろしい形相でフェイトを睨んだ
超音速教会戦:凛は驚愕していた(教会へ視点変更)
市街地の狂戦士:士郎とセイバーは、虚空に現れた存在を見据えていた(市街地へ視点変更)
住宅街の暗殺者:「君は何者かね?」「さてな……私もそれを知りたいのだよ」(S市住宅街へ視点変更)

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最終更新:2007年05月21日 02:06