220 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:39:18
もうすぐ復活出来るかもしれないですorz
誰も覚えていないと思いますが投下しときます……
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「……やめろ。」
意志と関係なく震えて、今にも崩れ落ちそうになる脚を必死に抑え、
なんとか遠坂と少女の間に立つ。
目の前の存在は見た目こそ幼いが、その密度タマシイは恐ろしく濃く、
凡庸な人間の魂では数百人集めたとしても足下にすら届きはしないだろう。
────くそっ体の震えが止まらない。
なまじ夜の鍛錬で、『死』というモノが近くにあったために分かってしまうのだ。
自分では、あれに向かって生き残る術はない。
否、人の身ではあれに抗う事は許されないのだと。
目の前に居るのはそういった存在モノだと云うことが……
今にもオーバーワークで焼け付いてしまうのではないかと思うほど、
心臓はデタラメに暴れる。
それでも俺は……退けない。
「――――君は一体何者なんだ?」
緊張でカサカサに乾いた唇を動かし、恐怖で固まる喉をなんとか震わせ声を出す。
「……自分で召還しておいて『君は一体何者なんだ?』だと?
……己の武器であり盾であるサーヴァントを庇ったり、
敵を助けるために切り札である令呪すら使う始末。
……此処まで致命的に馬鹿なマスターだったとはな。」
少女はこめかみを押さえ、盛大な溜め息を付くと高らかに名乗り始めた。
「――――召還された以上は仕方あるまい。
我の名はギルガメッシュ。無知な貴様とて聞いたこと位はあるだろう?
お前が叫んだ通り、クラスはアーチャーだ。不本意ながら貴様に召還され現界した。
ここに契約は完了し、我が主マスターの勝利は約束された。
貴様を我が下僕とし、我のそばに在る事を許す。
光栄に思うが良い。
馬鹿ではあるが、むしろここまで馬鹿なら
暇つぶしには丁度良さそうだしな。」
まるで王様の様に──いや実際、太古の王様なのだが──平たい胸を突き出し、
ふんぞり返りながら口の端を吊り上げ笑みを浮かべる。
パチリと指を鳴らすと、遠坂達を狙っていた
無数の武具が一斉に姿を消した。
「戦闘を継続する意志は無いと
解釈していいのかしら衛宮君、アーチャー?」
遠坂の問いへ答えを求める様に、アーチャーがこちらへと視線を向ける。
俺は首を縦に振り、遠坂へ……
「ああ。────聞かせてもらえるか?
遠坂の隣に居る女性やこの少女、そして聖杯戦争の事を……」
221 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2007/04/04(水) 19:54:42
──Inter lude1-1
──
これは夢……
この世界を見た瞬間に理解する。
当たり前だ。人が生きられる世界はこんなに寂しく、悲しい墓場の様な場所ではない。
故に此処は夢の中なのだと。
だが、夢の割に意識ははっきりしている。これは所謂、明晰夢というモノなのだろう。
視覚、問題無し。墓標みたに地面に突き起つ『 』だけが目に付く、
果ての無い灼き尽くされた地。
聴覚、問題無し。鋼があげる悲鳴の様な耳障りな音。
嗅覚、問題無し。花の香りも、排気ガスの臭いも一切無く、鉄の匂いだけが世界を満たす。
味覚、問題無し。呼吸をする度に口内を蹂躙する血のような空気。
ただ、触覚だけが一切無かった。
───嗚呼、当たり前だ。体が無いのだから。
いや、おかしいのは体が無いのに五感のうち四つもある事か……
違う。此処は夢なのだから不思議はない。
全くもって嫌になる。夢ぐらい楽しいものにしてほしい。私の夢のくせに融通が効かない。
否、こんな夢こそ私にはふさわしいのかもしれない。
とは言え、人も物も、しまいには自分の身体さえもない世界で何をしろと云うのか……
はぁと溜め息をつき、宛もなく辺りを見渡すと、直ぐに遠くの方に人影が見えた。
ゾクリ
「──ひっ」
思わず悲鳴が出そうになるが、幸い喉が萎縮し、出ることは無かった。
万が一あんな存在に見つかればどうなるか……
化け物を見た瞬間、正に背筋が『凍った』。
あれは異形であり、異端。
人のカタチこそしてはいるが、最早人に不ラズ。
ソレはこの壊れた世界に在って尚異常。
幾千万の血を凝縮したかの如き布を体に巻き付け、
幾億の血が満ちて出来たかの様な空を見上げていた。
───そうか、ここは夢では無かったんだ。
『彼』を見て、魂ココロに理解させられた。
この墓場は名も無き英雄がたどり着いた理想ユメであり、理想の果てに倒れ伏した絶望アクムなのだと云うことを。
その怪物ヒトが、タイセツナヒトに似ていた事すら、この世界から覚めた時には忘れているのだろうか……
─────Interlude out
◎:衛宮邸へ
○:間桐邸へ
▲:アインツベルン城へ
投票結果
最終更新:2007年04月05日 05:32