625 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2007/05/15(火) 22:15:37

「それじゃ俺は聖杯を奪い合う、魔術師
同士の殺し合いに巻き込まれたって事な
のか?」

『聖杯』
その名を聴いて始めに思い浮かぶ物は、
聖人の血を受けたとされる杯だろう。
だがこれは別物。
数百年前の魔術師達が生み出した、根源
へと通じる穴を穿つべく産み出した大魔
術の器。
そして聖杯戦争とは、その聖杯を手に入
れるべく、
伝説上の英雄、過去の英傑を、
果ては人々に厄災をもたらし、魔物と云
われた者を呼び出し、使い魔として使役
し殺し合わせるというとんでもないもの。
そうして生き残った一組にもたらされる
聖杯と言う名の奇跡。
凡庸な魔術師ならば一生……いや、数代
をかけても手にする事は愚か、近づく事
も許されない代物。
命を賭ける対価としては十分過ぎるのだ
ろう。
だから参加する魔術師達は『あらゆる手
段』を使う。
そう、ありとあらゆる手段を……
魔術とは、本来秘匿すべき物。
魔術は決して人々に知られてはいけない。
知る者が増えれば、それだけ魔術は薄く
なる。
だからそれは魔術を、ひいては己の身を
守るため。
しかし、その魔術師としての絶対的なル
ールすら破る者も現れる。
『魂喰い』
聖杯によって呼び出された英雄、サーヴ
ァントと呼ばれる彼らは第二、第三要素
といわれる魂、精神を摂取する事で力を
貯める事が出来る。
食事をとれば、瞬発力は変わらないが
持久力は増す。

いくら高性能のエンジンを積んだところで、
燃料がなければ意味がない。
逆にいえば、性能の低い英霊でも、
相手を燃料切れにさえしてしまえば勝てるのだ。
そのために無関係な一般人を襲う者が現れる。
「そうよ、そして間違えてるわ衛宮君。
確かにランサーに襲われた時は、巻き込
まれただけだったかもしれない。
だけど貴方はアーチャーを召喚した。
その時点で此方側になった、
つまり『参加者』になったのよ……
その殺し合いの」
「そうか……って待てよ、遠坂。
一般人なんか巻き込んだら、教会と協会が黙ってないだろ?」
「そうね。
でも、見つからない様にやれば済む事よ。」

まるであまり前だと言わんばかりに、遠坂の表情は魔術然としていて、俺の知っている優等生の彼女はそこに居なかった。

「――――遠坂も、ライダーに人を襲わせるのか?」

この問いに対する答えによっては、
密かに憧れていた人物と殺し合う……
そんな緊張からか、手のひらは汗で濡れていた。

626 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2007/05/15(火) 22:17:31

「……それは私を、そしてライダーを侮辱しているのかしら、衛宮君?
私がそんな事をさせると、そんな事をしなければ勝てないと言うことかしら?」
先程と表情は変わらないが、思わず後退りしていまいそうになる程冷たい声で、確かな怒りを含んでいた。

「――ごめん、遠坂。
そんな事をする奴が、わざわざ俺にこんな話をするわけ無いよな」

俺の謝罪を聞き、遠坂の表情が少しだけ和らいだ。

「それで衛宮君はどうするの?
令呪を破棄して、監督者に保護してもらえば聖杯戦争から離脱リタイアする事も出来るわよ。」

いきなりこんな事に巻き込まれた俺にとって非常に魅力的な提案で――――

◎:それを受け入れた

―:それは出来ない

投票結果

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年05月18日 00:16