600 名前: 運命夜行  ◆ujszivMec6 [sage 戦車の逆位置] 投稿日: 2007/05/13(日) 11:07:51

 特に何事も無く家の前まで帰ってこれた。
 いや、実際は遠坂の後ろから憑いてきている赤いののプレッシャーを感じながらの帰宅だったんだが。
 それでも、帰り道で他のサーヴァントに襲われたり、他の聖杯戦争の関係者に出くわすようなことはなかった。
 やれやれ、どうやらこれ以上ややこしい事に……

「うわーん! 切嗣さんの家がヘンなのにのっとられちゃったぁーー!」

 ……なっちまったみたいだ。

「今の声は……」
「藤村先生、よね?」
「……ああ、藤ねえだな」
 その直後、藤ねえが泣きながら玄関から飛び出してきた。

「な、何があったんだよ藤ねえ」
 慌てて士郎が藤ねえを引き止める。
「あ! し、士郎!? それに杏里も! これはどういうことよ!」
「いや、だから何があったのか説明してくれないと、答えようが……うわ!?」
 藤ねえは士郎の肩を掴んでぶんぶか揺さぶっている。
「誰よあの女の人! どうして切嗣さんの家にいるのよ! しかもなんかわたしの方が不審人物扱いされて追い出されちゃったし!」
「だ、だから俺にも何のことだか……」
「藤村先生、そんなに士郎くんを揺さぶったら答えられるものも答えられませんよ」
「それどころじゃないわよ! なんでわたしが切嗣さんの家から追い出されなきゃならないのよ!」
「ふ、藤ねえ……落ち着け……」

 荒ぶる藤ねえの世話は士郎と遠坂に任せて、こっそり家に入る。
「あ、おかえりなさいアンリ」
「……やっぱアンタか」
 予想通り、玄関でバゼットが出迎えてくれた。

「あー、何があったか大体予測はつくんだが、一応説明を求む」
「はい。不審人物がこの屋敷に侵入してきたので叩き出しました」
 この上なく簡潔かつ分かりやすい説明だった。
 心なしかちょっと得意気である。
 だが……

「その不審人物なんだがな、信じられないかもしれないが、一応名目上はオレの学校の教師なんだ」
「え?」
 信じられない、という顔をするバゼット。まあ、気持ちはわかる。
「オレも士郎も社会的には未青年だからな。藤ねえ……その不審人物が保護者代わりってワケだ」
「で、ですが彼女は屋敷に無断で入り込み、挙句には冷蔵庫の中の食糧まで勝手に食べようとしていたんですよ!?」
「……それが藤ねえのいつもの行動パターンなんだ」
 まあ、客観的に見たら確かに不審人物にしか見えない行動だけどな。

「ええい、こうなったらウチの若衆に声をかけて……!」
「な、何をする気だ藤ねえ! ていうか杏里、どこ行ったんだ! 俺たちだけじゃ藤ねえを止められそうにない!」
「藤村先生、落ち着いてください!」
「カチコミじゃあーーー!」

 ……そろそろ外も限界らしい。
 とにかく藤ねえにバゼットのことを説明して、藤ねえをなだめないと。

 だけど、なんて説明しよう?

 戦車の正位置:あ、ありのまま起こったことを話すぜ!「怪我をしていたバゼットを見つけて、家に連れ帰ったんだ」

 節制の正位置:切嗣の知り合いということにしておこう

 恋人の逆位置:ここはひとつ、オレの彼女として紹介しよう

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最終更新:2007年05月13日 16:44