952 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:切り札を切る] 投稿日: 2007/01/12(金) 05:34:58

引き金に込められた力を感じる。
ここで同じように引き金を込めていては互いに死ぬことになるだろう。
どちらかが生きる為には。
己が生き残る為には。

「投影、開始」
衛宮士郎の世界より、最善を引き出すのみ。

唯一にして最大の守り、アイアスの盾では防げない。
距離が近すぎる上に時間が足りない。
その上非効率的だ。
故に選択肢は攻撃一択。

ネイルガンを持たぬ、開いた左手に双剣の一つが出現する。
「な――」
その驚愕は何に対してか。
片割れの莫耶は、剣の丘より出現した瞬間に、銃を持つ右腕を貫通していた。
皮膚や筋肉はおろか骨や神経までを切り裂いて落とす。
傷つけられた筋肉と神経は咄嗟に引き金を引くが照準は大きく乱れた。
頭部を貫くはずの銃弾は逸れ、肩を貫通して抜けていく。
肩を抜く銃弾は、吸い付くように頭部を狙っていたネイルガンの照準を大きく逸らし、士郎の撃ち出した五寸釘は壁にのみ命中し僅かに突き刺さった。

激痛の中、一瞬だけ相手を睨み付ける。
互いに怯むことはない。
衛宮士郎は釘の切れたネイルガンを捨て去り、その手に干将を引き出し、斬りかかる。
相対する男は切り裂かれた腕の出血を利用して目眩ましを仕掛け、残った左腕でもう一丁の拳銃を取り出す。
「くっ……」
片方の眼に血が入り、視界を奪われる。
血を拭う時間は無い。
拭う間に、今度こそ頭を一方的に撃ち込まれて敗北する。
それをさせぬ為には、接近し銃弾を撃たせず、切り伏せる他ない。
先程の立ち会いから体術的にはそれほど差はない。
ならば片方の腕を奪った分だけ有利、休ませず、撃たせず、攻撃を続けるのみ。

干将の狙いは銃そのものと、それを握る左腕のみに絞り、首などの急所は莫耶で狙う。
銃弾が放たれる直前に振り戻す干将の峰が銃身を叩き、銃弾を逸らす。
「おおっ!」
戻しざま、相手の体勢を崩す為に体当たりを選択する。
壁にまで吹き飛ばせば一瞬であれ動きは止められる。
そうでなくとも、攻撃を続けるためには相手の動きを制限しなければならない。
踏み込む足は全力で、肺めがけて体当たりを敢行した。

声さえもまともに出せぬ程の会心の体当たり。
身体を壁に預けたまま、頭がぐらりと揺れた。
衛宮士郎に躊躇はない。
無差別の殺人を容認し、恐らくその為の手助けさえもした人物だ。
頭から壁にぶち当たり、意識さえ失いかけている無防備な身体に向けて、両の剣を突き出した。

その直後――


キリル:「え?」身体が宙を舞った
バード・クーベ:爆風が巻き起こり、両者共に吹き飛ばされた
アブシェロン:壁をぶち破り、セイバーが吹き飛ばされてきた。

投票結果

キリル:0
バード・クーベ:5 決定
アブシェロン:0

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最終更新:2007年07月19日 17:57