17 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage interlude「放たれた光」] 投稿日: 2007/01/14(日) 04:12:14
interlude――
かくして空戦は終わる。
一時は20以上の機影が飛び交った空には、ただ6機が残るのみであった。
「ミッキーより88コントロール、敵増援全機撃墜、被害は8」
『了解、帰投せよ』
最初の空戦で2機、続く増援部隊には6機が撃墜された。
彼自身は今夜4機を撃墜した、撤退した敵影を確認できなかった以上、チームとしては25機を撃墜したことになるだろう。
キルレシオとしてだけでなく、一度の空戦の戦果としても十分なものだ。
しかし精兵である彼等からしても、今夜戦った部隊は途方もない精鋭だった。
「向こうは全機ベイルアウトしやがったしな」
しかし彼等の部隊で撃墜された者は一人もベイルアウトすることが出来なかった。
「まあ、考えても仕方のないことだ……全機帰投するぞ」
仮初めの命だからと、そうでなくとも紙切れよりも軽い命だからと僅かに笑みを浮かべる。
すぐ隣で同僚の期待が親指を立てるのが見え、すぐに彼の機の後方に回る。
彼等は2機編成の3チームとし、アローフォーメーションでビル街から杜王港の方角へ飛行する。
かくて上空に光が走る。
フォーメーション先頭の二機が火を噴き、一機は道路へ墜落し、もう一機はビルへ突き刺さった。
『空が光った!?』
「シン、今のはなんだか分かるか?」
『わからん、レーザーか何かに見えたが……』
「レーザーだと? 俺達はSFの世界に居るとでも言うのか?」
『88コントロール! 今の光は何か分かるか?』
慌ただしく通信が交わされる。
『観測したが詳細不明、ビル屋上以下の高度で飛行して盾にしろ、レーダー波は観測されていない、高度を低く取りさえすれば正確な照準は不可能なはずだ』
「了解……いつもいつも無茶言いやがるぜ」
戦闘機からすればビル街など障害物にしかなりえない。
可能な限りの、失速寸前の速度で、ビル街を縫うような飛行を初めた。
――interlude out
18 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:爆風の後] 投稿日: 2007/01/14(日) 04:15:27
そして、予想もしない爆風が両者を襲った。
無防備な敵に突きだした衛宮士郎の双剣は突き刺さることなく、両者は吹き飛ばされる。
突然の浮遊感は、全ての思考を奪い去るのに十分な衝撃を衛宮士郎に与えた。
吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。
「っ……!」
叩き付けられた反動で床に転がり、骨が折れたような激痛で声も出せずに蹲った。
だが様々な判断できるだけの頭が残っているのは僥倖だった。
全身を走る痛みはむしろ安堵をもたらす。
もし壁に当たることなくドアから外へ吹き飛ばされれば、先程のクレイモアで開いた大穴から地上へと真っ逆さまに落下していたことだろう。
『しっかりしろ衛宮士郎、まだ終わってないだろう』
そう己を鼓舞し、よろよろとだが立ち上がる。
まだ戻りきらぬ視界で手にしていた双剣を探す。
干将は叩き付けられた際に壁にめり込み、己の力では外せそうにない。
莫耶は倒れ込んだ場所に転がっていた。
左腕で拾おうとして、握力が殆ど入らないことに気付いた。
恐らく叩き付けられた衝撃のせいだろう。
仕方なく右手で拾う。
「痛みはあるから神経とかは大丈夫だろうが……暫くは動かせないな……」
周囲を見渡す。
戦闘機の一部が部屋にめり込んで炎上していた。
外壁や床などに引火し始めているのは理解できたが、見えるのはそれだけだ。
床に転がったはずの右腕も、その右腕の主である魔術師も見あたらない。
「やばいな……逃げられれば不利だ」
奇襲を続けたからこそ追い詰められた。
あの防御魔術を破る手段は、現状の衛宮士郎では切り札中の切り札である大神秘の投影以外になく、余りにも不利な賭けになる。
その投影にしても、既に目の前で使ってしまった以上、名は知られていないだろうが衛宮士郎の魔術に関する情報は漏れたと考えるべきだろう。
楽観的に考えれば投影という非効率な魔術に特化した存在のことを考えないかも知れない。
だがそうだとしても、後日仕切り直しと言うことになれば地力の差から恐らく敗北する。
あそこまで追い詰められたのは、運に寄るところが大きいと見るべきだろう。
チャレンジャー:この室内で逃げた手掛かりを探す
レオパルト:逃げるとすれば通路の方と考えて通路に出て探す
T-90:戦闘機が貫通した部屋が怪しいと考え部屋を移動する
90式戦車:単独での深追いは危険かも知れない、先生を呼ぶべきだ
投票結果
最終更新:2007年05月21日 17:27