228 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:激突] 投稿日: 2007/01/27(土) 04:30:12

いつからだろうか。
『彼』には記憶のない時間というものが現れ始めた。
そして、記憶のなくなった後は決まって血塗れになっていた。
そんな自分が恐ろしくなってきた矢先、彼はついに事実を知ってしまった。

それが彼の狂気の始まり。
そして更に後、彼は狂気に染まった。


見据えた敵の空気が変わり、一瞬の間だが、世界を浸食した。
世界が閉塞し、外界から隔絶する。

「……なんだ?」
衛宮士郎からすれば途方もない魔力の変位。
それが目の前での突然死に奪われた心を戻させる。
それと同時、心臓が危険を訴える。
喉がどこまでも乾いていく感覚。
此処は危険だと、心と体が訴えている。
「とにかく……ビルから出た方が良さそうだな」
警戒心が、死体に突き刺さったままの干将と莫耶を抜かせる。
残される死体に、微かに弔意を残して、身を屈め、周囲を警戒しながら部屋を出る。

そして廊下で、何かが頭にぶつかった。
前傾姿勢で小走りだった為、結構痛かった。
痛みに頭を抑え、目の前を見やれば、そこには何もなかった。
「……?」
手を伸ばす。
目には見えない。
だがそこには確かに『何か』があった。
決して見えない、だが確実にそこにある面状の存在。
「……壁?」
ビルの廊下に、『彼等の周囲』に、見えぬ壁が出来上がっていた。


「空間の閉鎖……そんな能力があるとは……」
悪寒と共に後方へ蹴飛ばした屋上のタイルが、何もない空中で砕ける音を聞き、言葉を漏らす。
まさかこの見えぬ壁が一面のみと言うことはあるまい、周囲を覆っているのだろうと推測、続いてその理由を考察する。

その理由を考えるに、3つ。
一般人を巻き込まぬ事。
周囲の建造物に被害を及ぼさぬ事。
決して標的を逃さないこと。
……前者二つはこれまでの行動より除外するべきだ。
ただの威嚇や恫喝、魔力の無駄遣いの線も却下、バーサーカーと言えども、否、だからこそ戦闘の妨げになるような事はしない。

「そうだとすれば……解除条件のは私の死か、能力を使用した貴方の死のみという事といったところですか」
推測を止め、再び錬気する。
「いいでしょう、来なさい、バーサーカー!」
言われるまでもなく、哄笑と共に黒い気を纏い、バーサーカーが突撃する。
万全の気力で迎え撃つセイバーの拳が帯電する。

蛇のように後ろへ伸びる黒い気の下で、ビルの屋上がズタズタに捲り返されていく。
その気を迎え撃つために踏み込む足が屋上にクレーターを作り出す。


両者の力が激突し――


ブレイクブロウ:互いの力が相殺された
ダブルブレイク:両者共に跳ね飛ばされた
シャドウイーター:黒い気が両者を包んだ

投票結果

ブレイクブロウ 5 決定
ダブルブレイク 3
シャドウイーター 1

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最終更新:2007年05月21日 17:36