372 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:台所の会話] 投稿日: 2007/02/14(水) 04:26:12
「……よし」
台所から流れてくる香りを嗅げば大凡の準備は終わっているのだろうと分かる。
用意を手伝えなかった事もあるし、配膳位は手伝うことにしよう。
居間を軽く見渡す。
実に普段通りと言わんばかりの大人二人と眠そうにしている女性陣が何人か。
居ないのは、まだ寝ているか、大事を取って休息しているのか。
バゼットさんがいないのは少しだけ気になるが、きっと洋館に戻っているだけで、きっと無事だ。
単独行をして無事を伝えない、なんて事をする人ではないだろうが、きっとそうなのだと思いこむ事にする。
「桜、おはよう」
台所に入りまず挨拶。
「あ、おはようございます先輩」
卵焼きに、さらにキャベツとハム、椎茸の炒め物を盛りつけながら桜が笑いかける。
その笑顔は毎朝見せてくれるが、やはりいつ見ても安心する。
「む、起きたか、衛宮、おはよう」
視線を転ずると、氷室が人数分の御飯を茶碗に盛りつけている。
二桁を超える膳がずらりと並ぶ様はそれなりに壮観だ。
「ああ、おはよう」
軽く手を挙げて挨拶を返す。
「桜、何か手伝うこと、ないか?」
「ええっと、じゃあ、このお鍋の配膳をお願いできますか?」
「ああ、昨日のアレだな……ん、これなら個別に盛りつけるより大皿で突っつく方が良いかな?」
昨日の間に仕込み、汁がたっぷりと染み込んだスコッチエッグを見ながら言う。
「はい、そうですね、それじゃあお願いします」
そういいつつ桜は続いて味噌汁の盛りつけに取りかかる。
「しかし、私達のせいとは言え、この台所は炊き出しの現場のようだな」
杓文字でぽんぽんと丁寧に盛りつけられた飯の形を整えながらポツリと漏らす。
「あはは、そうかもしれませんねー」
「ま、鍋の大きさがデカイしなあ……」
何しろ味噌汁が入っているのは重量が4キロ近くもある十徳鍋である。
炊き出しに使ってもそれなりに役立つだろう。
とはいえ、家で普段から使っている大きさなんだけど。
「しかし、少し懐かしいぞ、これほどの人数で食事をするのはいつ以来か」
小学校の給食以来かなあと少し遠い目をしながらウキウキしているようだ。
……確かに、仲の良いあの二人とは毎日のように食べているのだろうが、これだけの人数を集めて食事をする、なんてのは普通ないだろう。
あ、ちょっと盛りすぎ。
……あれは蒔寺の分にしておこう。
「ところで、家主の二人に聞いておきたいことがあるのだが」
最後の茶碗に盛り終えると突然真面目な表情を作って言った。
「……なんですか?」
真面目な話……何かあっただろうか。
あるとすれば……昨日の風呂の話だろうか。
いや、あれは桜に話されると非常に困ります。
つ、と冷や汗が流れるのを感じる。
もしかして、遠坂がやったらしい人を深い睡眠に落とす魔術の事か?
そうだとすれば、どうすればいい?
思考がグルグルと回り、口の中の唾を飲み込む。
「……二人の間に子供がいるとかそう言うことはあるのか?」
盛大に吹いた。
桜は思い切り咳き込んでいる。
椀をテーブルに置いてあったから助かったが思い切り溢しかねない爆弾だった。
「……どこからそんな話が出たんだ?」
呼吸を落ち着けながら聞く。
いや、何となくそう考えるに至った経緯とかは想像できるんだけど。
「そ、そりゃ子供が出来たら嬉しいですけど」
桜も顔真っ赤にして何を言っておるか。
「今朝、見知らぬ子供をこの家で見たのでな、二人の隠し子か忌み子の類かと思ってな、声は掛けていないのだが」
やっぱりノインのことか。
だが少なくとも隠し子じゃないと思うよ?
「忌み子って、妖怪やらじゃあるまいし、あの子はだな……」
さすがにここまで連続で切嗣の娘とかそう言うことは言えまい。
まあ、隠すべき事情でもないし、正直に話してしまおう。
「昨日ちょっと用事があって出掛けたんだが、あの子が倒れててさ……
放っておくわけにもいかないから家に連れて帰ってきたんだよ、記憶喪失でもあるらしいし」
「ふむ、そういう事情か……警察には知らせてあるのか?」
「ああ……一応な」
そう言ったことはあの神父がやってくれた。
日本の警察は大概の場合優秀だ、ただの身元不明ならばすぐにでも見つけてくれるだろう。
「なるほど、用事が何か、と言うことは詮索すまい、それで預かってきたというわけか」
そういうわけなんだ。
「なるほど、納得した、食事の時にでも紹介して貰えると嬉しい」
「ああ、勿論だ」
質問継続:「それからもう一つ聞きたいのだが」眼鏡を掛け直して続けた
お手伝い:「あの……何か手伝えることありますか?」三枝さんが顔を出した
虎と黒豹:「しろー、ごはんまだー?」虎が半分寝ている黒豹連れてやってきた
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最終更新:2007年05月21日 18:37