402 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:カオスへの道] 投稿日: 2007/02/17(土) 05:20:17

士郎達が台所で軽く歓談をしていた時間。
今では和やかな朝の光景が広がっていた、幾分人数は多かったが。

例えば、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトと三枝由紀香は縁側で歓談していた。
普段の習慣からすれば少し早い朝食になりそうではあったが、台所から流れてくる香りは食欲を刺激して止まない。
例えば、遠坂凛は低血圧が災いして慎みと言う物を発揮しきれず、そこを蒔寺楓にからかわれたりしているが、反応はどうしても鈍い。
例えばイリヤスフィール・フォン・アインツベルンは弟と思って止まぬ衛宮士郎が昨夜連れ帰った少女、ノインと楽しげに朝のテレビを眺めている。
殺伐としたニュース番組が多い中、ほのぼのとした番組は希少だった。
例えばセイバーとジェネラルは、少し離れた場所で今後のことについて話し合っている。
一般人もいる中での話であるため、話そのものだけでなく居間の人間達の気配に気を払っている。


「ぬー……どうしても我慢できない」
そんな中ぽつりと、藤村大河が呟いた。
「何がです?」
急須のお茶を配りながら、ライダーが問う。
「士郎のことだから食べるときには紹介してくれると思うけど、シャリフさんに、ノインちゃん? 名前だけじゃなくて二人ともちょっとでいいから自己紹介して欲しいの」
我慢できないのは好奇心と不信感のようだ。
物腰を見る限りでは怪しい人物ではないが、何しろここ数日で怪しい人物(あとシベリアトラ)の魔窟と化した衛宮邸である。
被保護者として大切に思っている士郎のことを信じてはいるが、どうしても落ち着ける物ではなかった。
食事を美味しく頂くためにも、気持ちの整理は早い内につけておきたかったというのもある。
「何と言われても、私は妹ですよ」
そういう話にしてある。
「うん、それは二人の姿を見てれば何となく分かるのよ」
実際の話、これは大嘘であるが、信じるに足る程度に二人はよく似ていた。
服が同じ物、という事もあるだろうがそれだけではなく雰囲気も似通っている。
「でもこの時期に突然訪れるというのはタイミングが……凄いと思うのよ」
タイミングが悪い、とは言えなかったし言わなかった。
久々の再開なのだ、という気遣いもある。
「確かにこの来客の多い時期に姉の元を尋ねる、というのはタイミングが悪かったとは思います」
ぺこりと軽く頭を下げる。
「あ、そう言うことを言いたいんじゃなくてね、何で来たのかなーって思っただけよ、海外からだから、時間もお金も結構かかるでしょ? 何かあったのかなーって」
ほら、里帰りとも違う物だし、と理由をボソボソと挙げていく。
「いえ、別に理由はないんです、ただたまには会いたいな、とアメリカから」
けろりと答えるが、内心は冷や汗が滴っている。
「ふうん? アメリカからなの? ライダーさんはギリシャ出身じゃなかったっけ?」
「……ええ、そうですよ」
その問いはライダーが答えることにした。
昨日打ち合わせた通りであるが、こういった演技は苦手だと彼女自身は思っている。
「暫く前になりますが、ある事件で地元に居ることが難しくなりまして、エーゲ海に別れを告げたのです」
少しだけ棒読みのような言葉遣いと内容に胡散臭さを感じながらも、僅かな眠気がそう言った疑問を洗い流した。
とはいえ、少しだけ事実は混ざっているから、彼女の表情は苦い。
神話に曰く、メデューサはその美しさ故アテナに恨みを買い、孤島へと移り住んだという。
「ふうん……じゃあその事件については聞かない方が良いわね」
「ええ、そうしていただけると助かります」
ライダーは内心で一息つく。
拙い演技ではあったが、どうにか誤魔化せた、と。
少し眠気のある朝とはいえ、誤魔化せたのならば誤魔化せたという事実は残るから、再度追求されると言うことはないだろうと安堵する。
「それじゃあ、次はノインちゃん」
ずい、とテレビを見つめる二人に近づく。
「なんでまた士郎が連れてきたのか話して貰えるかな?」
出来るだけ優しく、顔を近づけて言う。
「ん? 街にいたら士郎がこの家に連れて来たんだよ?」
テレビから視線を話さず答える。
ひき、と空気が凍り付いた。

ノインの言葉に間違いはない。
だが、色々と修飾語が省略されていた。
それ故にか、居間に居た全員が同時に似たような誤解をして。
それ故にか、ほぼ全員の動きが止まっていた。


「……ん? どうしたんだみんな」
その言葉に固まっていた面々が動き出す。
最初に動いたのは――


タイガーストライク:「し、しろー! アンタまさかー!」やはり虎ッ!
無慈悲で無情で情け無用:二人のライダーがコンビ攻撃をッ!
凄まじい気合の一撃で花と散るんダ:ルヴィアが抱きついてきて――?

投票結果

タイガーストライク 5 決定
無慈悲で無情で情け無用 1
凄まじい気合の一撃で花と散るんダ 3

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最終更新:2007年05月21日 18:57