413 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:藤ねえ跳躍] 投稿日: 2007/02/19(月) 04:52:46

最初に動いたのはやはり虎ッ!
ノインに寄りかかるような膝立ちの姿勢そのままに跳躍して飛びかかる。
「膝立ちのままの姿勢でジャンプをッ?」
先程から居間にいた全員が驚きの声を上げる。
そんな中飛びかかられるであろう衛宮士郎は、愛すべき家族のそんな姿を受け入れてしまったことに気付いて「ああ、俺も精神的に成長したな」とぼんやりと思った。

だが、そんな感慨に浸っている余裕はない。
今手元の盆に乗せられているのは味噌汁である。
簡単な衝撃で中身を溢して大変な事になるであろう事はすぐに想像できる。
咄嗟に身を屈めて茶の間の脇に盆を置く。
それは結果として回避となった。
急に動いた為にお椀の一つから汁が溢れかけ、表面張力で踏ん張って戻った。

ぎろりと方向を修正する。
「ふ、藤ねえ、目が据わってるぞ?」
それどころか息を荒げて前屈みになり、両手を頭の高さまで上げて今にも襲いかかろうとしている。
「しーろーうー、とうとうやったわね……」
ふふふと含み笑いを漏らしながらじりじりと間合いを詰めてくる。
「な、何のことだ藤ねえ? 良く分からないが誤解だと思うので何をどう考えてどういう答えになったのかを、順序立てて分かるように言ってくれ」
噛んで含めるように距離を離しつつ宥めかける。
「ええぃ、わからいでか、神妙に縛につけーい!」
って、早ッ!
しかも部屋の端に追い詰められてミル・マスカラスばりのフライングクロスチョップは、どうにも避けようが
考えている途中で喉に交差した腕が直撃した。
呼吸が止まる。
そしてそのまま二人して倒れ込む。
「いてて……」
呼吸が戻り、目を開けると、思い切りマウントポジション状態でのし掛かる藤ねえの姿があった。
なんだか今にも殴られそうだ。
「藤ねえ、事情を説明してくれ、頼むから」
「必要?」
なんだかもの凄いドス効いてます。
今すぐにでも黒いオーラとか放ちそうです。
「必要、俺には何も覚えがない」
ふぅーと溜息一つして人差し指を立てる。
「いい? 士郎、誘拐って犯罪なの、未成年者略取なの、法定刑は三ヶ月以上七年以下の懲役なの、ここまでは分かる?」
「勿論」
法定刑云々は知らなかったけど。
「じゃあ何でそれをやっちゃうの!」
「……藤ねえ、それ誤解」
確かに誤解されやすい状況とか格好だったりするんだけど。
「騙されまっせん! 瞳ちゃんは切嗣さんの娘さんだしなのはちゃん達は遠坂さんの親戚さんだから良いとしてもこの子はどう考えても無関係の子でしょ!」
確かに保護者も居ないし、切嗣の娘だって言っても外見年齢的にはどう考えても無茶だしなあ……まあ、信じられている話も嘘なんだけど。
「順を追って話すから、とりあえず離れてくれ」
マウントポジションでは落ち着いて話しも出来ん。
呼吸が荒い藤ねえを、ライダー二人がテーブルまで引きずっていってくれた。

朝食は始まり、朝食の場で説明という名の軟禁が一段落する。
勿論説明の間は水すら飲ませて貰えなかった。
昨日打ち合わせたとおりの説明ではあったが、どこかに矛盾がないか、それを指摘されないか冷や冷やした。
「……なるほど、ね」
疑いの眼差しを崩さなかった藤ねえが目を閉じ、軽く溜息をつく。
この反応からすれば一応は信じて貰えたらしい。
「つくづく士郎って貧乏籤引くわね……」
「仕方ないだろ、困ってる子供を見捨てるなんてできないしさ」
「ま、そういう事情なら仕方ないわね……」
溜息をもう一度。


カンターレ:「それで、士郎は今日どうするの?」
マジョーレ:「それはそれとして士郎、もう一つあるんだけど」

投票結果

カンターレ 3
マジョーレ 5 決定

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最終更新:2007年05月21日 19:02