460 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:ライダープロジェクト] 投稿日: 2007/02/26(月) 03:15:30

……多少、気は引けるが、三枝さんは兄弟が沢山いるって聞いたことがある。
貸してくれるかは別として三枝さんならば確実に持っているだろうし、借りられるか聞いてみよう。

「三枝さん」
「あ、はい、どうしました?」
縁側で日向ぼっこをしている三枝さんに声を掛けた。
「あ、うん、悪いんだけどさ……三枝さんの服、貸して貰えないかな」
「え? ふ、服、ですか!?」
慌てている。
ボタンが取れていたり、薄切れしている部分があるのかと服を軽く引っ張ってちらちらと見ている。
そして段々と顔が赤くなっていく。
服を貸せというのを着ている服、と勘違いした場合の反応としては怒り出すかこうなるかだろうが、それは勘違いだ。
「あ、いや、そうじゃなくて、えーっと、そう、ノイン用にさ、古着とかあったら貸して貰えないかな……って思って。
 その、ほら、買いに行くって言っても流石にあの格好じゃどうかと思うし」
「あ……」
掌をポンとあわせる。
「勘違いしちゃいました」
「いや、その、言い方も悪かったし、こっちもゴメン」
「えっと、こちらこそ」
互いに頭を下げる。
その姿に、ちょっとだけ笑みがこぼれた。
「それで、良いかな? 服」
「あ、はい、良いですけど……ちょっと時間かかりますよ? 歩きですから」
ちらりと居間の時計を見る。
まだ朝は早いが、時間がかかるのは悪い気がしたらしい。
「うん、別に急がなくてもいいよ、こっちが頼んだことだし」
「それじゃあ、その……家に一回戻りますね」
「うん、ありがとう」

「急ぐのなら私が連れて行っても良いのですが?」
「シャリフさん?」
そう言ったのはライダーだった。
いつ運び込んだのか、土蔵から大型のバイクを運び出している
「昼の間に街の状況をちょっと知りたいから、街の案内もして欲しいのだけど」
「は、はい、別に構いませんけど……」
乗れるのかなあとか、いいのかなあと、不安そうにそのバイクを見つめる。
「三枝さんがいいのなら、頼む」
「えっと……その、大丈夫ですか?」
「安心して、安全運転よ」
まあ、しっかり捕まってもらうけど、と続けると、ヘルメットを放る。
土蔵の中に長い間放置されていたそれは、少しだけ埃っぽい。
「あー……ちょっと待っててくれ、何か拭く物を持ってくる」

ヘルメットを軽く拭いていると、ふと気付く。
「あ、これバイザー付いてるんだ」
小気味の良い音と共に遮光バイザーを引き出す。
太陽に翳してみると、眩しくない。
ついでに顎下のベルト部分も確認、ちゃんと作動する。
「うん、コレで大丈夫だと思う、被ってみてくれるかな?」
ひょいと手渡す。
「えっと、こう、ですか?」
ちょっと頭のサイズが大きめだったが、ベルト部分を調整してあわせた。
「うん、大丈夫そうだ、似合ってるよ三枝さん」
「えっと……ありがとう」
ヘルメットが似合っていると言われて、どう答えたらいい物か、とりあえず苦笑いを浮かべた。


461 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:ライダー発進] 投稿日: 2007/02/26(月) 03:16:17

道路までバイクを転がしていくと、ライダーがさっと跨る。
その姿は実にサマになっている。
「さ、乗って」
手で軽く促す。
「は、はい」
緊張した面持ちでヘルメットを被り、バイクの後ろに跨る。
「それじゃあ、行ってきます」
三枝さんが緊張したまま言う。
普段の習慣はそう簡単には抜けない。
「ひとまず大通りまで出るわ、しっかり捕まっていなさい」
「は、はい」
ぎゅっと捕まったことを確認する。
爆音が響き、後輪が一瞬空転して煙を放つ。
数秒のウィリーと共にバイクは衛宮邸の前から吹っ飛んでいく。
そのまま速度を殺さず数十メートル先のコーナーにターンイン。
突き出るようにサイドマウントされたミラーが火花を一瞬散らすのが見えた。
「うわ……」
その姿に目を丸くする。
足が抉れそうな角度とあの速度……ライダーはともかくとして、三枝さんは大丈夫だろうか。
自分で頼んだことだが、三枝さんのことがどうしても気になってしまう。
「……心配しても仕方ないけどな」
頭を一度掻いく。
ああなってしまっては自分に止められるわけではない、とにかく無事を信じる他はない。
帰ったら他の人は乗せないように言っておくことを心に決めて。

自室に置いたままの鍵のことを思い出す。
あれはどうするべきか。
新都の駅の近く、そこにあるアパートの一室の鍵だというあの鍵。
あの夜死んだ男は武器がある、と言っていた。
出来れば無駄にしたくない。
とはいえ、昼間の往来のなかで銃火器をガチャガチャと持ち歩くというのは問題があるだろう。
というか逮捕されるだろう、間違いなく。

「うーん……」
考えを次々と浮かばせて、軽くまとめる。
ライダーのあのバイク、かなりの大型だった。
全部は無理としても、あれなら拳銃の幾つかは運び込めるだろう。
他には……ジェネラルのあの部隊、あの部隊に配備してしまう、と言う手もあるだろう。
どれだけの火器かは知らないが、現存する火器ならば多少の戦力向上にも繋がるかも知れない。
なのは達の飛行を……ダメだな、昼間だし怪我人だし、あの子達に銃、というのはどうにも考えにくい。
勿論、自分が夜に行く、と言う選択肢もある。

……どうするにせよ、アパートが引き払われるまで放置して火器が回収されるのは不味い。
昨日の事件でテロだ何だと騒がれていることはテレビを見て分かった。
それと関連付けられてしまえばどうなるかは分からないが、大変なことになるだろう。


ライダー運送:ライダーに頼んでみようか
輸送部隊:ジェネラルに頼んでみることにしよう
日常の味:夜に行くことにして、今は日常を満喫しよう
遠坂先生:どうしたものか、遠坂と相談してみようか

投票結果

ライダー運送 2
輸送部隊 5 決定
日常の味 1
遠坂先生 

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最終更新:2007年05月21日 19:18