928 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/21(木) 04:42:59

闇から弾丸が放たれる。
その様子を、自らの死を、あっさりと受け入れ。
——悪夢だけではなかろう?
そんな声とともに闇に溶けた。

無数の銃弾は虚空を貫き、標的を見失った。
「ぬ——!」
判断は瞬時。
イブラヒムを連れて消え去った。


「——消えたか」
「そのようだな、我が主」
皮肉っぽい、そんな声が虚空に響いた。

二人は地に降り立ち。
「少しは傲慢になれ——彼女に問いたいならば、それを願え」
黒い紳士がそんなことを口にした。
「それが契約となる——か」
「理解が早いな」
「経験者故な」
「ではどうするね? 一人で黙考する哲学者となるか? それとも——」
しばしの無言の後。
彼は答えを口にした。



そして舞台は衛宮邸に戻る。

鈴が鳴る。
警戒の鈴が鳴る。

動きが鈍い。
眠りにつけと命令されたかのように。
「——桜」
廊下で膝をつく妹に声をかける。
「姉さん、無事ですか?」
「今のところはね、他のみんなは?」
「——私はここに」
「ライダー、無事だったのね」
「ええ、敵は正面から押し入ってきたようですね」
来客のベルが鳴る。
「正面から……自信満々ね」
「ともかく、玄関へ行きましょう」
「ルヴィア、無事だったのね」
「ふん、こんな卑しいアンチマジック程度……」
そう言いながらもふらついている。
「士郎とキャスターは?」
「起き出してこないところを考えれば……」
歯噛みする。
「こうなると頼りはライダーだけね……いける?」
「通常戦闘に問題はありません、屋内戦闘ならば地の利はこちらにありますから、援護に専念してください」


玄関では男が立っていた。
「日本式には馴染めんが、君たちも礼儀がないね、ミズトオサカ、ミスエーデルフェルト、来客はもっと素早く迎える物だ」
「モンティー……」
ルヴィアが呟く。
「久々だね、俺のアンチマジックと誘眠香だけじゃ完全に眠らせることはできなかったようが……変わらず優秀なようで嬉しい」
「ふん、そのストーカー気質は一年くらいじゃ修正できなかったようね、英国紳士の名が泣くわ」
「傷つくな、これでも俺は努力したんだぜ? 君たち二人に勝てるようにさ」
「その結果がこれ?」
「結果だけ見ればね、君たちが敗退する、俺が勝つ、最強は多分君達、ならば俺の勝ちは確定だろう?」
「サーヴァントも連れない相手を倒して自慢するんだ、やっぱり最低ね」
凛が笑う。
「何とでも言うがいい、一週間時間は与えた、それで十分だろう?」
男の背後に巨体が現れる。
「じゃ、サクッとやっちまうかい? バーサーカー」
「それが貴方のサーヴァント……」
「その通り、こいつはジャック・ザ・リッパーを超えるロンドン……いや、イギリス最強の犯罪者でね」
バーサーカーは、肉切り包丁とカラシニコフを手に持ち、ただ立っていた。
「即死以外では死なないんだよ、滅多にね」
「ならば即死させるまでです」
ライダーが実体化する。
「ほう、いるじゃないか、サーヴァント……これは楽しめそうだね」
「楽しむ間もなく……倒します」
「じゃあ……戦闘開始だ」


英:ライダーの釘剣が廊下を舞った
国:凛の宝石魔術が光を放った
紳:ルヴィアの宝石魔術が光を放った
士:桜の衝撃波が放たれた

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最終更新:2007年05月21日 00:31