12 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/23(土) 03:54:14
ライダーの釘剣が廊下を舞う。
空間の制約上不可避の一撃、その一撃を、バーサーカーが受け止めていた。
無言で手にしたカラシニコフを乱射する。
「っ!」
三人を抱きかかえ、廊下の陰に隠れる。
「あの程度ではダメージがないようですね」
「心臓近くに突き刺さっているのに?」
「……恐らくそれがあのバーサーカーの特性、即死以外では死なないと言っていましたし」
凛の問いに、ルヴィアが応える。
「それは危険ですね、ともかく、動けぬ三人、士郎、キャスター、タイガの三人をなんとかせねば……」
「……ライダー、時間稼ぎ、頼める?」
桜が問う。
「はい」
それに力強く返答する。
互いに目配せする。
ちょっとした睨み合いにも似た光景。
ただそれだけで各々の役割は決定した。
「ふん、威勢が良いのは初撃のみか、ならば往くぞバーサーカー、確実に息の根を止めろ」
頷いたのか、狂戦士が廊下に前進を始める。
それに呼応するように、ライダーが飛び出す。
玄関や廊下という狭い空間では、ライダーの速度も、バーサーカーの力も、互いに完全に発揮することは出来ない。
だが、それに構わず肉切り包丁を振り回す。
「人の家で好き勝手っ!」
突き刺さったままの釘剣を振るう。
「それはお互い様だな! サーヴァントッ!」
バーサーカーのマスター、モンティーと呼ばれた男は、土足で玄関に上がり込み、その様子を見守っていた。
「……許せませんわ」
その光景を、ルヴィアが吐き捨てるように言う。
「土足で家に上がり込む、その『日本式』を無視するその心根が!」
宝石魔術がバーサーカーに直撃し、蹌踉めく。
その隙に、ライダーが鎖を首に巻き付け、思い切り振り下ろす。
並の人間ならば首が吹き飛び、サーヴァントでも頸骨骨折を免れぬほどの、ライダーにとっても最高のタイミング。
その様を、男が笑殺した。
「無駄だね」
バーサーカーの手が壁に触れる。
その直後に、まるでダメージが無かったかのように立ち上がり、包丁が振るわれる。
「なっ!」
一瞬の油断で、後方に退く彼女の足が切断される。
「言ったろ? 即死以外じゃ死なないってさ!」
心底愉快そうに、廊下で小躍りする。
土が廊下に落ちていくのが見えた。
「くぅ……」
ルヴィアが歯噛みする。
「その礼儀を守らぬ心根のどこが紳士か! 恥を知りなさい! モントゴメリー!」
勝つことも、相手の非礼を正すことも出来ぬ悔しさに、自らの無力さを嘆くように彼女は叫ぶ。
そんな彼女の叫びに応えるように
最終更新:2007年05月21日 00:32