39 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/24(日) 03:29:53
彼女の叫びは心の底からの物。
たとえそれが、作戦であったとしても、叫びは真実の彼女だ。
そんな叫びに応えるように、衛宮邸内に吹雪が舞う。
「吹雪……だと?」
バーサーカーのマスター、モントゴメリーが狼狽える。
「馬鹿な……エーデルフェルトの宝石魔術は攻勢解放だけのはず……一定空間だけだろうと、空間環境への干渉など出来ぬはずだぞ!」
その吹雪は、冬そのもの、彼女の故郷そのものだ。
吹雪を感じた瞬間、彼女の中で何かがガチリと噛み合い、その瞬間に『勝った』と確信した。
何に対する、どのような勝利かまでは直感だけでは分からない。
だがそれでも、この後相手が何者であろうと恐れることなく前進できると、彼女は確信した。
「この吹雪は、私の故郷」
優雅な笑いで。
「即ち、攻める者を挫き、守る者を守護する自然という名の要塞」
鋭い瞳で。
「退きなさい、モントゴメリー」
彼女は警告する。
「さてね、少なくともまだ退く時期では無いと思うがね、少なくとも、この吹雪の正体くらいは握らせてもらおうか」
ふ、と息を吐き。
「ならば倒すまで、かかってきなさい」
同時に決意を吐き出した。
「突撃しろ! バーサーカー!」
そう叫ぶのはある意味で正しい。
吹雪による環境変化はあったとしても、戦力的な変化はまるでない。
抗魔術を消去させる彼自身の魔術と、誘眠香による邸内での戦線離脱、戦力低下とそれに対する人員。
後方から飛び出すタイミングを計る遠坂凛も、既に彼は関知している。
戦力的には圧倒している以上、押し切ってしまうという考えは正しい。
だが忘れてはならない。
此処は魔術師の屋敷である。
一息で倒せねば退くべきは鉄則。
それが出来ねば、死が待つのみだ
最終更新:2007年05月21日 00:37