154 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/26(火) 04:02:10
彼女の勧告、それを無視して突撃させた。
その直後の彼の直感、真横に跳ぶ。
襖を吹き飛ばし、茶の間に転がり込む。
その瞬間の違和感、右腕が吹き飛んでいた。
彼自身は気づいていないが、彼が見ていた彼女の背後の空間、壁も吹き飛んでいた。
バーサーカーでさえ動きが止まる。
彼の握る武器も同時に吹き飛んでいたのだから。
「損ねたか、なかなか良い直感をしている」
彼女の背後、腕を組んだ男が立っていた。
「いえ、貴方の狙撃手は良い腕をしている、流石ですわ」
それに応える彼女の笑顔は、恐ろしいほど美しかった。
「馬鹿な……アンタがサーヴァントを連れていないことは確認した! 最初は存在すら関知できなかった!」
痛みさえ忘れたかのように叫ぶ。
だが、叫びながらも彼は冷静だった。
「チッ……この片腕は授業料だ!」
片腕でルヴィアに向けて何かを投げる。
そうして左腕で地面に落ちた右腕を拾う、その瞬間までが見えた。
爆発音。
「しまった!」
屋根の上で遠坂が叫ぶ。
タイミングを逸したと理解した。
飛び降り、その進路を防ごうとするが、遅かった。
バーサーカーに抱えられ、玄関を飛び出す姿は、空中を飛び出した彼女の目にも無防備に映った。
真正面からならば確実に撃ち抜けたと後悔しつつもガントを連射する。
この状況下、必要なのは威力ではなく手数だ。
一発が命中するがそれだけだ。
バーサーカー相手にはまるで効果がない。
「Anti boundary——Breakthrough」
そんな声とともに、衛宮邸の門、その空間が歪む。
ガラスが割れるような音が響き、道路に二人が転がる。
「出る物を破砕する断裂結界とはね、しかもついさっき発動した物だ……気付いて助かった」
転がった一人が落とした腕を再び拾い上げる。
「次は倒す」
そんな言葉とともに、彼等は全速で去っていった。
頭を押さえ、桜の肩を借りながら、士郎が歩いてきた。
その後ろにはキャスターが心配そうな顔をしながら後ろを歩いてくる。
こちらは頭の痛みなどは無いらしい。
遠坂は庭に降り立ち、ルヴィアは床に倒れ、ライダーは疲れ果てているのか壁により掛かっている。
「いてて……遠坂、ルヴィア、ライダー、大丈夫か?」
「ええ、私は大丈夫です、ちょっと頭を打っただけですから」
「そうか、それはよかっ……うわ、なんだこれ……」
築100年は経っている衛宮邸だが、これほどまで破壊とか火災とかそういう事態には……って
「火事、火、消さないと!」
頭の痛みも忘れて何故か家に10カ所も設置されている消火器を手に取——
「ああ、そうだったな、すまん」
ルヴィアにばかり注目していたが火事の中心と思われる場所とルヴィアの間に男性が立っていた。
彼が火災の方へ振り向くと、氷塊が落下し、天井に近づこうとしていた炎が消失する。
「さて、こんなところかな……すまないね、魔術師相手の戦いはこれが初めてなの勝手が分からなくてね」
そう言って再び振り返り、男が笑う。
品格を感じさせる紳士の笑みであった。
「え、ええ……そりゃもう」
火事が消えればひとまず落ち着いて良いだろう。
まずは
最終更新:2007年05月21日 00:38