206 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/27(水) 04:03:07

「うわ……台所もグチャグチャだな……」
ライダーの状態を軽く確認した後、家の様子を確認する。
茶の間、廊下と来て台所もかなり危険なことになっていた。
ガス漏れこそ無いか、蛇口の水漏れや棚が倒れたりしている。
「とにかく水漏れを止めて……と、ガスも念のため元栓を閉めておくか」
朝まで放置しておいたら大変なことになる、水道代とか。
とはいえ、既に畳の張り替えやら壁の塗り直しやら床の張り直しやらで既に幾らかかるか考えると気が遠くなりそうではあるが。

「遠坂、どうだった?」
「駄目ね、魔術的に展開する類の爆弾だったみたい、床も壁もかなり汚染されてたわ、魔術的な修理は難しそうよ」
遠坂が不機嫌そうな顔で姿を見せる。
「そうなのか?」
「ええ、魔術的でない破壊ならあれでも一時間もあれば終わるでしょうけど、そうでないなら難しいわ」
「ふーむ……」
「アイツ、魔術と科学を融合するとか言ってたのを聞いたことがあるから、多分それね」
「融合? 出来るのかそんなこと」
「やったことはないけど、多分、軍用の物を改造したのよ」
「でもそれは変じゃない?」
玄関の方からキャスターが顔を出す。
「イギリス軍用の手榴弾なら殆どはミルズ手榴弾でしょ? アレは破片手榴弾で燃えたりはしないと思うけど」
「へえ? そう言うこと詳しいのね貴女」
遠坂が向き直る。
「知り合いに一人、こういうのにやたら詳しいのが居てね、その人に教えてもらったの」
「ふうん、まあいいわ」
遠坂が溜息をはく。
「とにかく、明日のことを考えると何とかしないといけないわね……凄い手間でしょうけど」
「ああ、そうだな、藤ねえ、いるしなぁ」
これで明日の朝藤ねえの詰問に『料理でドジこきました』って言ったら多分絞め殺される。
桜が様子を見に行ってくれているがどうなっていることやら。
「とにかく、その汚染とか言うのを取り除けば良いんだろう?」
「ええ、まあ、そうだけど……イヤな感じの汚染よ、絶対に解除しようとか考えないこと、良いわね?」
「分かってるよ、まあ物は試しだから」
ともかく見るだけ見てみよう。


廊下に出ると、桜が顔を出した。
「ああ、桜、藤ねえの様子はどうだった?」
「大丈夫です、無事でした」
「そうか、それで、意識は?」
「元々凄く消耗してましたし、あの睡眠薬のような薬も嗅いでたみたいで、まだ寝てます、多分昼過ぎまで起きてこないでしょう」
「そっか……とりあえず、落ち着くような紅茶……出来るかな?」
「茶葉は無事でしょうけど……ポットもカップも壊れてますから……どうしましょう?」
それでも土蔵なら……土蔵ならきっと何とかしてくれる……
ん? 今何を考えていた。
ああ、土蔵ならあるかもって事か。
「うーん、土蔵に……あるかなぁ?」
「それなら私も行きましょう、体の調子を見ながらやりますので少し時間はかかりますが」
「ライダー、もう大丈夫なのか?」
「ええ、普通に動き回るくらいならば」
「そっか、なら桜と一緒に頼む」
ともあれ、ライダーも無事のようで、一安心だ。

207 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/27(水) 04:03:52

さて……と。
床に手を置く。
強化の応用で物質の構造から不純物を取り除く……なんてできないだろうか?
「解析——開始」
解析の終了までにはそれほど時間はかからなかった。
「解析——終了」
溜息を吐く。
これはまた悪質な代物だ。
爆発系魔術と火薬による爆発と同時、悪意というか呪いの類が周囲に飛散する。
さらにその呪いには同時に除去する魔術に対して発動するウイルスのような対抗魔術が仕込まれているようだ。
……見ているだけならば問題はなさそうだが、これを除去しようとするのは確かに危険だし、可能だとしても手間だ。
「……全部買い換えると一体幾らになるんだ」
本格的に頭を抱える。
まずこんな状態で業者は呼べないだろう、確実に不審がられる。
ホームセンターで買うにしてもその前に台所と茶の間もなんとかしなければならない、さすがに畳は売ってないだろうし。
仮に朝までに台所を何とかしなかった場合、虎の暴走は間違いないし。
「悩んでおりますわね、ミスター」
「ん? ルヴィアか」
「家の修理の事、ですよね?」
「そうだけど……あのシベリアトラはどうだった?」
「寝てましたわ、今私のサーヴァントが見張っております」
……そうだった、彼女のサーヴァントが召還されたのだった、そのことをすっかり失念していた自分に爆笑である。
「ああ……そうか、えーっと、なんだっけ?」
「完全に直すことは無理でもある程度なら補修できると言っておりましたが、彼に任せていただけません?」
少しくらい彼の活躍を見てあげてくださいとルヴィアは続けた。
彼女は彼の真名を知っているのだろうか。
だがそれは今聞くべき事ではない。
「ああ……そうだな……」



虎:うーむ、お願いできるのならばお願いしようか
の:いや、待てよ? もしかして……
出:待て、そもそも英霊にそんなことをさせても良い物なのか?
番:ええぃ、放置だ放置、なるようになるさ

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最終更新:2007年05月21日 00:38