339 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/30(土) 04:44:54
のっそりと起き上がる。
頭はぼんやりとして、未だ靄の中にある。
ただ太陽は高い事は分かった。
いくら休日とはいえ、これほど遅く起きるのは久しぶりだ。
縁側で一度大きく息を吸う。
そして。
「これ何事よ士郎ー!」
思い切り叫んだ。
それはまさに、バゼットが共闘への意志を口にしようとした瞬間だった。
「……そうでした、タイガのことを忘れていました、来る前は彼女に会うことが主目的だったというのに」
なんだか美食倶楽部の偉い人のような足音が聞こえる。
「この要塞を作ったのは誰だあっ!」
藤ねえが茶の間に現れた。
「私だ」
ジェネラルが普通に答えてしまった。
さすがに召還の際に与えられる知識の中に料理漫画の知識<<ネタ>>は無いらしい。
ちなみにこの漫画は衛宮邸に5巻まで置いてある。
海原雄山が実にギラついていたからと藤ねえが置いていった物だ。
「増えてるー!」
そういえば、ジェネラルについては知る余地がないのだった。
ん? いや、待てよ、キャスターについては知っているのだろうか?
「んー? どうしたのこの騒ぎは……」
キャスターが台所から顔を出す、買い置きの野菜ジュースを手に持っていた。
「……もう一人居たー!」
結局、大騒ぎは昼まで続いた。
「ええっと、こちらは私の伯父で……」
「挨拶が遅れて申し訳ありません、ルヴィアゼリッタの伯父、カールと申します」
正座で挨拶する。
どうやら二人は伯父と姪という関係とするようだ。
気も合っているようだし、実に妥当な話と言える。
さて、こちらはなんと言っておけばいいのやら。
「あ、これはどうもご丁寧に、藤村大河です」
興奮が落ち着いてさえしまえば、藤ねえは紛れもなく教師なのだ。
「こちらにお邪魔したのは偶々姪がこちらにお邪魔していると知った物で……お礼のためにお邪魔させていただきました。
そして士郎君がこの辺りの観光ならばこの家に泊まってくれて構いませんと言うことでしたので、お言葉に甘えまして」
「なるほど、この辺りの観光地というと、柳洞寺などにはお行きに?」
「いえ、そちらはまだ、昨日までS市におりまして……」
「なるほどー」
話は弾んでいるようだ。
さて、この間に何とか誤魔化しうる答えを考え出さねば。
「なるほど、分かりました……」
深くお辞儀をし、士郎の方へ向き直った。
「さて、士郎ー? この女の子はなんなのか、教えて貰おうかしらー?」
なんだか凄く微笑みが邪悪だよ藤ねえ。
あと抱きつきながら聞かれても、ああ、ほら、キャスターが凄く困ってるよ。
えーっと、どう答えた物か。
こ、ここは一つ……
最終更新:2007年05月21日 00:40