357 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/01(日) 02:24:42

「き、切嗣の娘だよ」
言ってみたら、全員がなんだか凄い顔になっていた。
というか何故こんな事を。
ええぃ、これが霊長の意志か!?

一方キャスターは目が点になっている、目で合図する、頼むから話を合わせてくれ。
そして、藤ねえは……なんだろう、形容しがたい表情だ。
例えるならば、そう、あれだ。
ヒーロー物で敵のボスが「何者だ、つまみ出せ!」って言ったら酒のおつまみを出されたような表情だ。
つまるところかつて見たことがない顔になっている。

キャスターを抱きしめたまま、ゆらりと立ち上がる。
えーっと、藤ねえってばそんなに力持ちでしたか?
というかキャスターがもの凄く困ってますよ?
立ったまま歩いていく、焦点はまるで虚ろだ。
どこへ行こうというのだ藤ねえ?

何てことを考えていると縁側で立ち止まると、突如奇声を発した。
「な、なにごとー!?」
誰かの声が聞こえるが誰の声かまるで分からない、というか、これは藤ねえの叫びなのか?
なんというか、怨霊付きというか、妄念とかそう言う物が宿っていそうな感じだ。
耳を塞いでもまるで筒抜けだ。
キャスターは……ああ、もう完全に目を回して気絶してるよ……

そりゃあもう突然あんな至近距離でこんな破壊的ヴォイスを聞かされたらそうなるよなぁ。

破壊ヴォイスは数秒のはずだが、脳を揺るがすのに十分すぎる程であった。
藤ねえが縁側でぜーはー言っている。
近所迷惑も構わず極限まで叫んだらしい。

桜は……ライダーに引っ張られて台所まで避難していたが、音と引っ張られた衝撃で気絶してしまっているようだ。
ちょうど昼の映画の佳境で「衛生兵! えーせーへー!」って声が流れてくるが丁度そんな状況が似合っている。
正直藤ねえになんかこう、睡眠薬でも打ち込んで落ち着いて貰いたい。

と、そんなことを考えていたら。
藤ねえが膝も曲げずにキャスターを抱きしめたまま空中でスパイラルしながら襲いかかってきましたよ?
立ったままの姿勢、いや、姿勢は関係ない、膝だけであんな跳躍をおおおっ?


士郎に抱きつき、キャスターも抱きついたまま床を回転する。
「ふ、藤ねえ、落ち着け? な?」
抱きつかれたまま藤ねえを宥める。
ふと気付くと、泣いていることに気付いた。
「藤ねえ?」
突如現れた憧れの人の娘という怒濤の展開で混乱しているのだろうか?
「ひどいよぅ切嗣さん……」
いかん、マジ泣きだ。
「ふ、藤ねえ、泣きやんでくれ……頼むから」
「赤ん坊孕ませたかったなら私はいつでも良かったのにー!」
「ちょっと待て藤ねえ、その発言は様々な意味でヤバイぞ!」
キャスターの年齢<<外見>>から計算したらその頃藤ねえは義務教育時代、下手したらティーン前じゃないのか?
そしてキャスターが押し倒されてヤバイ事になってる、ヤバイ事になってるよぅ藤ねえ。
具体的には藤ねえの胸で鼻と口塞がれてる。
男ならば世界で一番幸福な死に方かもしれないがキャスターは女の子でなおかつ気絶している。
「切嗣さんの忘れ形見があれば今よりもっと楽しいのにー、ええぃこの際士郎にこの場で」
「ええぃ、落ち着けこの虎」
肩を掴んで起き上がらせる。
そして前後にシェイクする。
次に頭を掴んで、正面を向かせる。
「混乱してるのはよく分かったから、人の目を見て、落ち着いて話してくれ」
藤ねえの瞳に焦点が戻り——


メメタァ:「んにゅ」ぶっ倒れた
貧弱貧弱ゥ:「し、士郎ー」抱きつかれた
ズキュウウゥン:思い切りキスされた

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最終更新:2007年05月21日 00:42