165 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・昼:商店街へ] 投稿日: 2007/04/02(月) 04:31:34
「はやくはやくー!」
どこへ行くと言うわけでもないが、街中を無邪気に走りくるくると回る。
その姿はとても無邪気で可愛らしく、思わず笑みがこぼれる。
とはいえ、その無軌道に走り回る姿を見失わないように早足で追う。
「ふふーんだ、新しい服ではしゃぎたくなるのも分かるけど、まだ子供って事ね」
イリヤはふわりと髪をかき上げて少しだけ勝ち誇っているが、視線は服の入った袋に注がれている。
やっぱり着て歩いてみたいんだろうなあ。
とは言っても、既に店は出ちゃってるからどこかで着替えさせることもできないし、
それに、もしそれを言ったらプライドを傷つけられたと思って機嫌を悪くしてしまうかもしれない。
……うん、イリヤには悪いが見なかったことにしよう。
そういえば色々と買う物があったんだった、商店街へ行こう。
「桜、忘れてたけど商店街によって買い物をしていこう、確か切れてるのは醤油、だっけ?」
「あ……はい、そうですね、私も忘れてました……ここからなら、バスの方が良いですかね?」
軽く周囲を見渡して場所を確認する。
「んー、そうだな、ここからならバス停も近いし、そうしようか……ちょっとイリヤと服を頼む」
桜にイリヤと荷物を預けてノインを追いかけることにする。
「シロウー、私は子供じゃないんだからねー!」
「やれやれ……私は無視なのね、ま、いいけど」
そんな言葉を背中に受けながら、雑踏に消えかかるノインを追う。
「ノイーン、行くのはそっちじゃないぞー」
声を掛けながら追うと、ノインの足が止まり、振り返ってくれた。
「どこか行くの?」
「ああ、そうんんだけど……ノインはどこか行きたいのか?」
記憶が戻るきっかけのような物があったのかもしれない。
だとすれば買い物よりもそっちの方が……
「んーん、別に、珍しいから見てただけだよ、みんなおとなしいなーって思って」
「そうかな? こんなもんだろうって思うけど……」
確かに見渡してみれば、辺りにいるのはビジネスマンばかりで忙しげに歩き回って、話し声は携帯電話の声だけだ。
時折女子高生らしき人々が話しているが、精々その程度の物で、確かにおとなしいといえばおとなしいのか。
……ひょっとしたら、もっと騒がしい場所で生まれ育ったのかも知れない。
記憶はなくなっても、そう言う感覚はあっても不思議はない。
「士郎、これからどこに行くの?」
思考にふけっているとくいくいと袖を引っ張られた。
「あ、ああ、商店街だよ、夕食の食材とか買いに行くんだ」
「うん、それじゃあ急ご?」
にこりとノインが笑う。
……なにやら気を遣わせてしまったような気もするなあ。
頭を掻き、もう片方の手でノインの手を握り、早足で歩き出した。
「シロウー! こっちこっちー! バス来ちゃったよー!」
「せんぱーい、ノインちゃーん、急いでくださーい」
イリヤはぶんぶんと手を振って、桜は両手を挙げてこちらを呼んでいる。
見れば名城は既にバスに乗り込んで料金を払っている。
お札だから恐らく人数分だろう。
「走るぞノイン」
「うんっ」
手を取って走り出し、どうにかバスに乗り込んだ。
「ふーっ、間に合った……」
「それじゃあ発車しますから、席にどうぞ」
「あ、はい、分かりました」
十五分ほどで商店街前のバス停で降りる。
「それじゃあとりあえず、軽い物から買っていこうか」
幾つか思いついた夕食の食材を思い浮かべながら歩き出すと――
ザクタンク:「おや、士郎ではないですか」ライダーが正面から歩いてきた
ガンタンク:「あれ? どうしたのみんなして」遠坂が店から出てきた
ギャンキャノン:「おお、衛宮ではないか」一成が声を掛けてきた
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最終更新:2007年05月21日 20:23