249 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・夕:遭遇の一成] 投稿日: 2007/04/06(金) 04:45:22

帰り道、幸せそうに鯛焼きを食べている一成を見つけた。
何回か一緒に買い食いをしたことはあるがあれほど幸せそうに頬張る姿を見たことはない。
「おーい、一成」
両手で荷物を抱えているので声だけ掛ける。
「ん? おお、衛宮ではないか」
がさりと紙袋の口を折り曲げてこちらに歩いてくる。
「うむ、なにやら久々な気もするが……大変そうだな、衛宮」
後ろに居る女性陣を見咎めたのか、怪訝な表情を浮かべた後、眼鏡の位置を軽く直しながら袋を開け
「良かったら食べるかね? 一人では冷めてしまうと思っていたところだ」
優しげに微笑んで少女二人に鯛焼きを渡す一成であった。
二人とも戸惑っていたが、それぞれの表情で受け取る。
だがそれは一口食べて幸せそうな表情に変わる。
「良いのか? お山の生活は甘い物とかは原則禁止だろ?」
しかもこんなにころりと表情を変えるほどの代物ともなれば、ただの鯛焼きでも中身は相当な代物だろう。
「うむ、構わん、今日一日分の労働の報酬だ、ついでに言えば美味なのだが一人食うには多すぎる……良かったら衛宮達も食うかね?」
むしろ食ってくれると嬉しいと言わんばかりの視線には頷かざるを得ない。
実際に近づいてみてみれば、一成の持つ紙袋は手に持つ、というよりも小脇に抱えるようなサイズである。
……あれが全部鯛焼きだとすると、軽くキロ単位である。
しかも二桁に届くかもしれない。

五人で食うにしても多すぎるとの判断までは一瞬。
少なくとも夕飯は食べられなくなるだろう。
ライダーが新鮮な魚を提供してくれる予定だというのにそれは問題がある。
「……一成、差し支えなければ家に来い、茶と人数が居ないとどうにも大変そうだ」
どれだけの人数がいるかは分からないが少なくとも誰もいないと言うことはないだろう。
「うむ、そうか……丁度良い、土産話と、少々問い質したいこともあるでな」
まあ、その視線から、何を問い質したいは大凡把握した。

目を輝かせて鯛焼きを頬張るノインとイリヤ。
そして再び頬張り、目を閉じて何度も咀嚼している。
実に美味しそうだ。
とはいえ、荷物もあるし、これから食べられるのだし、茶もあったほうが楽しめるだろうし、一緒に食べる人も多い方が良い。
「重そうだな衛宮、少し持とう」
「いや、別に大丈夫だ、一成の方は……」
見れば既に鯛焼きの袋はその手にない。
というかノインが持っていた。
「ノイン、あまり食べ過ぎると夕飯が食べられないからそんなに食べると良くは……」
「甘い物は別腹だから大丈夫ですわ、旦那様?」
思わず吹き出した。
そしてノインは悪巧みを成功させた時の遠坂のような笑みを浮かべた。
舌先を軽く出すその笑顔は、それはもう可愛い物があるが発言の内容が問題だった。
「なっ……なあっ! え、衛宮ッ! 流石にそれは友人として祝福できん! 再考を強く強く推奨するっ!」
がばーっと、掴み掛かるように一成が接近する。
というか、余りの勢いで激突した。
段ボールの箱から溢れそうになる芋を何とかバランスを取って支えて一息つく。
「一成、危ない、芋が溢れる」
「たわけっ、食品は当然大事だが婚礼は一生の問題だろうッ! 正妻はそこな間桐さんであろうに一体何をどうして血迷ったのだ衛宮ー!」
正妻、と言われて顔を赤らめる桜と、その姿を楽しそうに見つめるイリヤと名城。
「それはノインの冗談だ、冷静になれ一成」
「ええぃ、このような少女がそのような冗談をいうものか、例え今は亡き衛宮の父君の遺言でも推して破れぃ!」
割と冷静さを失っている一成を尻目に、ノインは楽しそうに新たな鯛焼きを取り出し頬張っていた。



カイファル:多少のゴタゴタはあったものの、どうにか衛宮邸に到着した
バラカット:衛宮邸のすぐ近くで、ルヴィアとジェネラルに会った
セラーズ:衛宮邸のすぐ近くで、後ろからシャリフさんがバイクで現れた

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最終更新:2007年05月21日 20:24