276 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・夕:一成来訪] 投稿日: 2007/04/09(月) 04:36:43

取り留めのない話をしながら角を曲がる。
「あら、ミスター、今お帰りですか?」
「あ、お帰り、ルヴィア」
ルヴィアとジェネラルとばったり出会った。
「ええっと、今日はどうだった?」
「ええ、意外と面白い物でしたわ」
ふわりと、髪をかき上げて微笑む姿はどこまでも優美だ。

「衛宮、この美人さんは?」
耳元で一成が囁くように聞いてくる。
「えーっと、遠坂の倫敦での友人でライバル、ルヴィアゼリッタさんだ……今は内に逗留して貰っている」
一成にルヴィアを紹介する。
言葉の最後の方で一瞬戸惑ったようだが、まあ衛宮ならば間違いを起こすまいと顔で語っている。
「で、こっちは俺の友達の柳洞一成。 こっちも遠坂のライバル、かな?」
「柳洞……というとあの円蔵山、柳洞寺の関係者ですの?」
彼女は無謀ではない、事前に冬木市の霊脈の位置や現地での呼称程度は把握している。
「ああ、詳しくは本人に」
続けてルヴィアに一成を、さらにルヴィアの伯父としてジェネラル……カール氏を紹介する。
「はじめまして、フィンランドから参りました、ルヴィアゼリッタと申します」
「はじめまして、柳洞一成です、貴方のお察しの通り私は権僧正の息子です」
ルヴィアは優雅に、一成は謹厳な姿勢で簡単に自己紹介する。
とはいえ遠坂のライバル、と聞いて情報収集する気満々らしく、互いの目に好奇心が見え隠れしている。
遠坂という共通のライバルを持つ者同士、なにか感じ入る所があったのか、それとも互いを見ただけで意気投合したのか、話を始めている。
「あー……二人とも、こんな場所で立ち話ってのもどうかと思うし、すぐそこだ、話は家でしよう」
「うむ、そうしよう」
「ええ、そうですわね」
家へと歩きながらも話は止まらない。
なんというか、合わせてはいけない人物だったかもしれない。

ノインは鯛焼きに夢中でこちらを気にする様子はない。
続けて一成をちらりと見て、意識がこちらに向いていないことを確認し、小声で確認を取る事にする。
「……実際の首尾はどうでしたか?」
「ビンゴ、とでも言うべきかな」
弁えているのか、ジェネラルも小声で応じる。
「というと?」
「武器の類は回収した、拳銃、ライフル、手榴弾に火炎瓶等々……流石に重砲の類は無かったがな、暴動の準備だとすれば大した物さ」
個人レベルで準備されていた武装なのだから十分に過ぎるといえるだろう。
「それじゃあ……敵の方は?」
「主の話では使い魔を3種、確認し、駅まで歩いてから迎撃しつつ目眩ましを掛けたらしいな、魔術については詳しく知らないがね」
3種、ということは普通に考えて敵が3組存在する、と言うことだ。
そうだとして、宅地領内での不可侵条約か、同盟かによって状況はかなり変わってくるだろうが、どちらにせよ放置は出来ないだろう。
「なるほど……ありがとうございます」
「気にしなくて良い、同盟を組んだ者として今は……な」
言葉と表情に僅かに苦みが入る。
その苦みの正体は分かる。
以前ライダーから借りた本の中に『雪中の奇跡』や『流血の夏』について触れた書物もあったからだ。
彼は敗戦間近に大統領に就任し、国のために同盟国を攻撃したのだ。
「そう……ですね」
話はそこまで、門を潜る。
分かっていなければ捉えられないような視界の隅、老人の姿が見えた。


「……む?」
玄関で靴を脱いでいると、一成の動きが止まった。
「どうした、一成?」
「今日は客人か? 随分と靴が多いが……随分と荷物もあるようだし、迷惑ではないのか?」
「ああ……気にすることはないぞ、何しろ――


ファミリー劇場:みんな家族だからな
全国気にしない協会:大体みんなそう言うことを気にする人達じゃないからな
ある日突然、12人の妹ができたら:血の繋がってない妹達だからな

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最終更新:2007年07月19日 19:33