389 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage五日目・昼:岸部露伴の負傷] 投稿日: 2007/04/21(土) 03:42:13

光の殆ど差し込まぬ工場内。
最初に見えたのは影。
そして僅かな光を反射して輝く拳銃。

その次に見えたのは、引き絞られる引き金と、放たれた銃弾。
「ヘブンズ・ドアアァァー!」
咄嗟にスタンドを発動させると同時、手に持ったままの鉛筆で銃弾を弾き、同時に己のスタンドで敵を無力化させる。
岸部露伴の執筆速度は異常とも言える領域に達しており、ただ一発の、通常炸薬によるP230の銃弾を弾く程度ならばなんとか可能なの

だ。
「……ッ!?」
敵となった者――暗さに目が慣れてみれば、先程の警察官であった――はどう思考したのか、咄嗟に後方に飛び退き、ヘブンズ・ドア

ーの射程からなんとか逃れる。
逃れた後は、防弾盾を構えたままじりじりと距離を取っていく。
「フン、この岸部露伴を傷つけるなんてことが許されると思っているのかい? ぼくの漫画を待っている読者がいるというのに」
銃口の前に曝されて尚、岸部露伴は怯むことはない。
一方の警官は、呆然と立ち尽くしている。
「いいからさっさと『本』になりたまえよ、犯罪に走る人間の動機ってヤツも……今度の作品のテーマにしたいと思っていた所なんだ

から」
その言葉は、途方もない傲慢から来る物であった。
「その動き……動機も……魔術師そのもの」
「何?」
その言葉は男の雰囲気を変える。
「魔術師は、殺してしまわねば……!」
決意を持って、岸部露伴に弾倉内の7発を発砲する。
「うっ……くっ!」
一発を弾き飛ばし、一発は耳元でピアス状になっていたGペンを吹き飛ばすに終わるが、残りの全ては露伴に直接叩き込まれ、後ろに

倒れ込む。
銃弾の激痛に悶えながらも、狼狽えず、相手を見据えたままだ。
「魔術師、ってのはなんなのか、この岸部露伴に教えて貰えるかな」
余りにも冷静に、岸部露伴は問う。
余りにも冷静に、男は弾倉を交換する。
「人の命をなんとも思わない外道の事だ、魔術師」
油断などまるでない。
先程の銃撃は頭と心臓を狙った二発の他は、全て手足に向けて放たれ、そして命中した。
銃弾は貫通せず、激痛と共に思考力を奪う。
それでも、先の一撃を警戒し、僅かに距離を取ったまま、頭部へ向け銃弾を発射する。

それは、岸部露伴という一人の人間に対する完全な詰め<<チェックメイト>>
即ち不可避の死に他ならない。

――Stinger snip

だがそれでも、岸部露伴という人間が相手に与えた重圧は意味を有した。
与えた重圧によって開かれたその隙間に魔法陣が出現し、同時に廃工場内に爆煙が巻き起こり瓦礫が落下する。
瓦礫と爆煙の中で、岸部露伴は魔法陣に弾かれる銃弾と、後ろに跳躍する男を見た。
「間に合った……!」
そして上空から一人の少年が舞い降り、着地する。
「君は……サーヴァントだな?」
手に持つ杖を男に向け、睨み付ける。
「一般人に対する殺傷行動その他は、この世界では禁忌だと記憶している」
「魔術師……!」
男も、『魔術師』を睨み返す。
「それに……この下らない戦いを終わらせるためにも、君はここで排除させて貰うよ」
強い決意と共にそう言いながら、開いたままの左手を露伴に翳すと、露伴の傷が僅かに塞がる。
この戦いに臨む限り、魔力を少しも無駄に出来ないと言う思いが完治を拒んだのだ。
だがそれで必要十分であるとも判断した。
「それで少しは動けるはずです、とにかくこの場から立ち去ってください」
その言葉を聞いて、岸部露伴は――


死刑執行中脱獄進行中:「フン、いいだろう、後で事情は説明して貰うよ?」と立ち上がった
岸辺露伴は動かない:ニヤリと笑い「だが断る」と言い切った

投票結果

死刑執行中脱獄進行中:4
岸辺露伴は動かない:5 決定

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最終更新:2007年05月21日 20:26