489 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage五日目・昼:膠着と打破] 投稿日: 2007/05/03(木) 04:53:23
状況は手詰まり。
だが互いに打開策は講じられない。
遠距離からの砲撃ならばあるいは、とも考えたがそれは不可能。
何のためにここに来たのかと言うことを忘れては居ない。
彼のことは意識の外にあるが、それでも目的を忘れては居ない。
ならば弱点を見つけ出し、そこを突く。
『完璧なる存在』とは『全知全能の神』と同じく、その言葉自体が矛盾していると誰かは言った。
その言葉は恐らく正しいのだろう。
そう、例えば弾切れがあるはずだ。
既に叩き落とした弾丸は弾倉三つ分程。
仮に装弾数の多いグロッグだとしても一つ半近い数だ。
この国の警察官は拳銃の扱いに過剰なほどに慎重になる。
一発の発砲にも一つ一つ理由を求められる為だという。
だが目の前の男はそのようなことにまるで頓着する様子はない。
それどころか弾切れを全く恐れぬように狙いもそこそこに拳銃で弾幕を展開する。
「弾切れを全く恐れていないのか、それとも『無い』のか……」
瓦礫の陰から陰へ隠れつつ牽制射を加えつつ探り続ける。
牽制の一撃は防盾に命中し、その魔力を霧散させられる。
その直後に構えを解き、弾幕を再度展開する。
「やはり正面で構えている限りこちらの攻撃は全て無効にさせられる、か……ならば横から」
狙いの甘い銃弾を後方へ跳びつつ回避し、瓦礫の陰に高速直射型の魔法弾を左右に展開、待機させる。
展開を終了する同時、すぐ脇の瓦礫で銃弾が跳弾し、襟元を掠める。
「クッ!」
その跳弾での一撃は本当に危なかったが、この危険は逆に好都合だった。
これなら算を乱してその場から逃れるような素振りを見せても不自然でない状況が、向こうから転がり込んできたのだ。
わざと後方に体勢を崩し、その姿勢を利用して後方に飛び退き、瓦礫に隠れる。
その動きに呼応するように踏み出す足音を瓦礫の陰で聞き取りながら、次の一手を展開する。
「3……2……1……行けッ!」
完璧と言っても良いタイミングで、瓦礫を蹴散らしながら左右同時に発射する。
「!」
左右からの一撃、その双方を盾で受け止めることは出来ない。
そう確信する。
この一撃でとどめを刺すことは不可能だろう。
だがどちら片方を受けて蹌踉めくか、伏せて回避するか、算を乱して後方に避けるか、どうなるにせよ体勢は確実に崩せる。
その確信と同時、瓦礫の陰から飛び出す。
「Stinger Blade――」
クロノの狙いは魔力刃の大量展開による処刑<<エクスキュージョン>>。
三秒で用意できた数はそう多くはない。
だが並の防御壁を貫通するに十分な、体勢を崩した対象を確実に蜂の巣にするだけの数量。
視線を敵に向けた瞬間、信じがたい物を見た。
そう、信じがたい物、体勢を崩さず、ダメージも受けず、銃を彼に向け、今まさに引き金を引かんとする敵の姿を――
戒めの洗礼:「――Execution Shift!」構わず攻撃を続行する
バリアガード:「Protection」S2Uに緊急防御を命令する
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最終更新:2007年05月21日 20:27