834 名前: もしハサ ◆yfIvtTVRmA [sage] 投稿日: 2007/07/29(日) 10:37:26
パックを開け納豆の上に乗せてあるビニールを半分だけ持ち上げ、中身を小皿に移す。
箸できっちり二百回かき混ぜてから一粒ずつ口へと運ぶ。
テーブルの上に金を置き出て行こうとしたら店員に呼び止められた。
「お客様、こんなに残されては困るのですが」
三十分ほど食べ物の大切さについて語られてからようやく帰してもらえた。
「なぜ、こうなってしまったのだ―」
初めて来た日本、ものめずらしさからうっかり足を踏み入れてしまった牛丼屋、礼儀作法が分からなかったので
隣の客と同じ注文をし、同じ様に振る舞い店を出ようとしたのに自分だけこの扱い。
「やはりこの国でも他人は信用できぬ」
日本から遠く離れたある国に一人の魔術師がいた。
協会に所属しないフリーの身でありながら名門出の一流魔術師としての評判を受けていた彼の成功者としての人生に
ある日大きな転機が訪れた。
突如表れた令呪、これが彼の人生を狂わせてしまったのだ。日本にある冬木という所にて行われる聖杯の争奪戦に
自分が選ばれた事を知り、10日後両親を■した。
仕事先の相手に日本に行くからしばらく依頼を受けられなくなる事を伝え、家にやって来た従業員達を■した。
その日の晩、家に侵入してきた親族全員を■した。
日本へ向かう船の中で出くわした昔の仕事仲間も■した。
もし彼が優秀でなかったら、見知らぬ国で行われるうさんくさい儀式の参加権など欲しがりはしなかっただろう。
だが、彼と関わりの深い者達は皆知っていた。凡人の遥か上に存在し、どんな魔術具を見ても
眉一つ動かす事がなかった彼が目を輝かせる程のイベント、
だからこそ愛情や友情や信頼関係と自らの命をチップにしてでも令呪を奪う価値を見出してしまった。
「後、最高で六人」
口に出し、そう自分に言い聞かせる。そう、ここまで来たら多くて六人。監督役の目が光っているこの地ならもう自分の
故郷の人間は襲ってこないだろう。六人■せばこの戦いは終わる。
しかし、この六人は今までの相手とは違う。顔見知りでないという点では戦いやすい相手だが、
彼らが自分より弱いという保障も存在しない。ゆえにここからはサーヴァントの優劣が勝負を決める。
そして彼の手元には最高の英霊を呼び寄せる為の触媒があった。
聖杯戦争中寝泊りする事になるホテルの自室にて彼は決断した、触媒を『使わない』事を。
選ぶべきは触媒を必要とせず、生前何の栄光もなくただ主の命令に忠実に相手マスターを■す事に特化した最弱の存在、アサシン。
アサシンならば勝つにせよ負けるにせよ自分の経歴が血で汚れるのは最小にでき、自らで考える脳も個性も無く、
しかもバーサーカーと違い暴走の危険もないので裏切りの心配もしなくていい。
何より今の彼には相手マスターに自らの英霊を見せ付け、伝説となった存在と共に華麗に勝っていくという
幻想を抱く余裕など無かった。
[選択肢]
イ.バゼット・桜・士郎の順番で見る
ロ.ショートカットしてほとんど士郎のみ
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最終更新:2007年07月29日 14:30