875 名前: はじめてのさーう゛ぁんと ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2007/07/31(火) 22:12:56

戦闘:魔法少女爆誕! 次回、魔法少女カレイドルビー第一話! 『私、実はオトコノコなの』に、スカーレット・スカッド発射!!




(うわーい。あんまり戦いたくねー)

 しかし、視線の先の女の子は殺る気満々のようである。

「それでは凛さん! 転身です! 多元転身《プリズムトランス》――!!」
「ええ、分かってるわ!

 ……コンパクトフルオープン! 鏡界回廊最大展開――!」

 変身呪文まで唱え始めちゃった。

「な、何してる!? あんなのでも遠坂《マスター》だぞ! 戦え!」

 あの女の子は知り合いなのか、多少戸惑いながらもクソガキの叱咤が飛ぶ。それは力を持って俺の体を鞭打つ。

「ちっ……」

 俺は左隣にあった民家の壁に女の子と平行になるように張りつき、狙撃態勢を取った。

「ナンパの七つ道具《ミッション・エグゼキュート》――心震言《セカンドステップ》、安定狙撃《サードステップ》――」

 そのまま右手の指輪と左手の腕輪を、それぞれ矢と弓に変えて、いまだに呪文を唱えている女の子へと矢を射かけた!

 ヒュ……!

 小さな風切り音。矢は、寸分の狂いもなく、女の子の右手首へと――。

 ぽすん。

 ――中って、力なく地面に落ちた。

「は?」
「こらー!! 変身中に攻撃するとは何事ですか!? 凛さんの(面白可笑しい)晴れ姿を見たくないんですか?」

 ステッキが、ぷんぷんと怒っていた。……いや、怒ってはいたのだが恐くないと言うか。迫力不足と言うか。どちらかと言うと満面の笑みで含み笑いされた方が恐そうなキャラと言うか。
 ……ああ、んでもって女の子の名前は凛ちゃんと言うのか。

「ペナルティです!」

 あれ、まだ怒ってたんだ。

「ルビービーム!!」
「んのわぁ!?」

 ステッキの星が輝いた瞬間。悪寒を感じて、民家の壁から地面へと飛び降りる。

 シュイン!

 刹那、ステッキの星から、一条の赤い光が民家に放たれた。

 ちゅどーん。

 民家が爆発・四散する。

「「「わーーーーー!!!?」」」

 俺とクソガキと凛ちゃんの悲鳴が重なった。

「な、何してるのよこの馬鹿ステッキー!!」
「何って(憂さ晴らし)正義の鉄槌です♪ と言うより凛さん、もう(正気に戻っちゃった)正義の炎が消えてしまったんですか?」
「勿論よ! んでもってこんなもの捨ててやるー!」
「カレイドビーム!」
「ううん、すてるなんてどうかしてるわ。これからもよろしくね」

 ……どうやら、凛ちゃんはあのステッキに操られているらしい。

「……で、あのステッキは何なんだ?」
「良くぞ聞いてくれました!」

 あ、独り言聞かれた。

「私はキャスター!」

 キャスター!?

「真名はカレイドステッキです☆」

 いきなり真名バラしちゃった!?

「趣味は墓荒らし」

 罰当たり!

「特技は……んー、特に無いです」

 無難な回答だな!?

「火照る体を持て余す一億飛んで十八歳☆ そんな私ですが、彼女募集中です! 4649!」

 突っ込みどころが多くて訳分かんねえよ!

876 名前: はじめてのさーう゛ぁんと ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2007/07/31(火) 22:13:59


「さあ、次は貴方の番です! 名乗りなさい!」
「俺はアーチャー。真名は――って誰が名乗るか!!」
「(ちっ。空気読めよ)むー。アーチャーさん、意地悪です。しくしくしく……」

 何で俺が悪者扱いですか。

「そうね。いじわるね。そんなやつはやっつけましょう」
「そうですね! それでこそ魔法少女カレイドルビーです! 多元転身《プリズムトランス》――!!」
「コンパクトフルオープン! 鏡界回廊最大展開! Der Spiegelform wird fertig zum Transport{転身準備、開始}--!」

 懲りずに変身呪文を唱えだす凛ちゃん。ここでまた攻撃したら……いけないんだろうなぁ。
 俺は足元に転がる瓦礫の一つを拾い上げる。表札だった。
『後藤』。
 すいません、後藤さん。貴方のような被害者はもう出しません。

「ja, meine Meisterin{はい、了解しました}……! Offnunug des Kaleidoskopsgatter{平行世界に接続。完了しました}--!」

 俺が黙祷を捧げている間に、呪文は終わったらしく。今はお色気《変身》シーンのようだ。
 凛ちゃんが着ていた、赤いタートルネックと黒いプリーツスカートが弾け飛び、それに伴って下着も飛び散る。しかし、全裸になることはなく、光のシルエットだけがかろうじて見えていた。
 一瞬、強い光が放たれ、その光が納まったそこには。紛うことなき魔法少女が痛。

「お待たせ! 魔法少女カレイドルビー、ここに誕生! 一刻も早く! 太陽よりも強く! 世界中の困った子供達にストロベリーな血塗れの愛を!」
「次回、魔法少女カレイドルビー第二話! 『銃火器との出会い』にスカーレット・スカッド発射!」

 ぴしぃぃん! と。良い感じに決めポーズを取る凛ちゃん。もとい、カレイドルビー(って呼ばないときっと怒る)。

「はぁい、お待たせみんな! 愛と正義の執行者、カレイドルビーのプリズムメイクが始まるわよ!」

 それにしてもこのカレイドルビー、ノリノリである。帰りたい。

「なあ、クソガ――マスター。帰らないか?」
「何言ってるんだ! 敵のマスターが目の前にいるんだぞ! 戦えよ! 見返すんだよ!!」
「えー。ってか私怨混じりかよ」
「食らいなさい! 魔法の《マジカル・》――」

 気がつくと、カレイドルビーが目前まで迫って、ステッキを振り上げていた。
 適当にかわすかー、とだるく振り返ると、



「――殺戮する大槌《ジェノサイド・ハンマー》!!!!」



「「ええぇぇぇえぇえぇえええぇえぇぇぇええぇぇ!!!?」」

 そこには、禍々しく巨大――俺の身の丈ぐらい――で、水晶のようにごつごつした――かなり痛そう――鈍器《ハンマー》を手にした、魔法少女。

「待てやコラ! 魔法少女の攻撃方法が鈍器って!?」
「問答無用、悪を正すのが私の仕事!」

 会話がかみ合ってねえ!?

「死ネエええええええええ!!!!」

 台詞もかみ合ってねえ!!?


 それでも、目前に振り上げられた鈍器が消えることはなく。

 俺はとっさに――。






三枝ラブ!:防いだ。
氷室ラブ!:受け流した。
蒔寺ラブ!:逃げた。

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最終更新:2007年08月02日 01:11