982 名前: はじめてのさーう゛ぁんと ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2007/08/06(月) 20:19:55

誘惑:「――奴隷にならないか?」





「――僕の奴隷にならないか?」

 何てことをのたまった。

「は? お前、何言ってんだ?」
「何だ、分からないのか?
 お前は何のためにここにいるんだ?」
「何って聖杯戦争――」
「そうだ。そしてここには敵のキャスター《サーヴァント》と遠坂《マスター》がいる。だけど、キャスターはアーチャーが抑えているから、遠坂は無力に等しい。
 つまり、遠坂に選べる選択肢は二つ。僕に殺されるか、僕に協力するか」

 心底面倒臭そうに、説明するクソガキ。

「……でも、何でそこで『奴隷』なんだ? 協力するんだろ?」
「はぁ? お前こそ何言ってるんだ。遠坂は僕に負けたんだぞ? なら、従属するのは当たり前じゃないか。生かしてやってるんだぞ?」

 よーし分かった。お前の評価に『クズ』と『鬼畜』を加えてやろう。んでもって地獄に落ちろ。
 しかし、凛ちゃんはクソガキの破綻した理論なぞどこ吹く風、悠然と言い放った。

「あら。間桐君のその目、眼球に見えたんだけど、実はガラス玉だったのかしら?」
「はぁ?」
「目の前にいるのが誰だと思っているの? 冬木の管理者《セカンドオーナー》にして遠坂が当主、遠坂 凛よ。
『無力』ですって? 私を舐めないでもらえるかしら。そんな、『たかだか』サーヴァントを抑えられただけで、負けを認めるわけないじゃない」

 その言葉を聞いて、俺は口笛を吹き、キャスターは「凛さんかっこいー♪」と言った。
 凛ちゃんはヒラヒラした魔法少女の袖を捲った。露出した左腕、そこには淡く光る幾何学模様。おそらくは……魔術刻印。
 それは戦うという意志。聖杯戦争において、絶対の剣と盾であるサーヴァントを失ってもなお、進み続ける決意。
 その在り方は美しく、名前の通り凛と立ち誇っていた。

 そして――。





従者行使:凛ちゃんは、クソガキに魔術を放った。
魔術行使:凛ちゃんは、クソガキに魔術を放った。
強敵襲来:「こんばんは、トオサカとマキリ・そしてサーヴァントの皆さん」少女の、澄んだ声が響いた。
友人邂逅:「遠坂!? 慎二も!?」少年の、驚いた声が聞こえた。
悪魔画策:「うふふふふ……」キャスターが、含み笑いを始めた。
習性発露:「凛ちゃん、そんな奴より、俺と付き合わないかい?」ナンパしてみた。

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最終更新:2007年08月06日 21:43