78 名前: フェイトボールTM 投稿日: 2007/08/08(水) 23:06:26

お茶を啜る。うまい。
せんべいをかじる。うまい…。

あぁ、平和とはいいものだ。
戦いの為にサーヴァントとして呼び出された私だけれど、こんなありふれた日常がいとおしくてたまらない。
私の母国は戦乱に明け暮れていた…。王として災厄をもたらす者は許せず、戦いばかりの一生だったけれど、まさか、それがこんなにゆっくり日々を過ごすことができるようになるなんて。以前は夢にも思わなかった。
そして聖杯戦争。
私にとって失う物も大きかったけれど――でも、確かに得る物があった。
傍らでいつも支えてくれていた少年。
今は…ふふ、台所で私達のおやつを作っているが。
―――こうして私が静かに過ごせるのも彼のせい…なのかもしれない。

ドッゴォォォーーーーーーンンッッ!!!!!
轟音。
居間でお茶を啜っていた私の耳に、突き刺したかの様な轟音が、衛宮邸を貫いた。
「な、なんだ、なんだ!?」
台所からエプロン姿で出てきた彼―――私のマスターのシロウが慌てて庭を出て、辺りを見回す。私もシロウの前へ出、意識を四方に集中する。
だが、周囲は別段変わったことなど起きていない。バーサーカーが暴れだしたかと勘ぐってみたものの、さすがにイリヤスフィールもこんな昼間から馬鹿なことはしまい。
この音は……遠い。はるか遠くから聞こえたもの。規模を予測するに相当の物だ。
「ニュースじゃ…チッ、都心付近の町へ連絡が繋がらないらしい」
シロウを見る。
彼の顔は穏やかな主夫の顔から、勇敢な少年のソレに変わっていた。

「セイバー、調べに行ってみよう。何か、魔術的なものが関連しているのかもしれない」
「いえ、シロウ。これは魔術の気配を全く感じさせませんが…いえ、行ってみましょう。被害が避けられるものなら避けておきたい」
彼が大火事からの数少ない生存者であることは前に聞いた。例え誰の手も及んでいない災害だとしても、彼にはそれが許せないのだろう。そして…私もそんな彼の力になってあげたい。
にこっと微笑む少年。――やれやれ、最近私もこの少年に感化されてきたのかもしれない。

高速で現場へと向かう。チラリと後ろを見る。よし、シロウも何とか着いて来てくれている。
確かに魔術の気配は感じないが…だが、この世界にはそれ以上の奇跡が存在する。私の体に流れる幻想種…神話の伝説上でしか語られない怪物ども…まさかそれらの怪異が現代に甦ったのではないか。
だとすればこれは想像以上に厄介なことになる。
急ごう。
手遅れになる前に。


1、大きなクレーターの中心に丸い球体が見えた
2、…誰だろう、知らない誰かが戦っていた。……なんて強さだ
3、…これはどうしたことか。数人の男達が怪我をして倒れている。…丸裸の子どももいる

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最終更新:2008年08月04日 06:08