205 名前: Fate/Ball TM ◆QWcajfuhO. 投稿日: 2007/08/12(日) 14:48:01

――Interlude side Caster


私は飛んでいた。レーダーに映っていた、まだ奪われていないドラゴンボールを得るために。

「どうなってるのかしらね、この星は」

偵察に来た敵と戦ってる連中を尻目にドラゴンレーダーを盗み、先にドラゴンボールを探しに行ったものの―――。

「死体ばかり。たくさんの村を発見したけど・・・大方、私達の他にボールを狙う奴らに殺されたんでしょうね。それに・・途中で出会ったあの悪魔の様な顔をしたチビ―――たしか周囲の部下共がフリーザと呼んでいたわね。
―――信じられないわ。他の宇宙人なら私の魔術でどうとでもなるのでしょうけど、あのフリーザという奴だけは逆立ちしても勝てるイメージが浮かばない・・・。」

想う。我がマスター、葛木宗一郎のことを。
そもそもの原点はあの病室からドラゴンボールの存在を盗み聞いたことから始まる。全てはそれを手に入れるために姿と気配を消して宇宙船に乗り込んだのだ。・・・一ヶ月間セイバーに気づかれないように維持するのは相当骨が折れたが。
ドラゴンボール・・・。汚染された聖杯では叶えることができなかった我が願い。
受肉。
私は受肉して宗一郎様との子を授かりたい。
例え聖杯で受肉に成功したとしても、汚れた意思に染まり、私が私ではなくなってしまう。だけどあのドラゴンボールとやらでは完全な形での蘇生が成功するのではないか?
そのためにはどんな奴よりも早くドラゴンボールを七つ集めなければならない。

「私が宗一郎様と結ばれるためならどんな敵だって相手になるわ。それがセイバーやあの悪魔だとしてもね」

飛んでいると妙に高い谷が見えた。多分そこにドラゴンボールがあるのだろう。急いで頂上まで飛ぶ。すると天辺には一つの家が見えた。・・・誰か住んでいるのだろうか?
しばらく扉とにらみ合いを続けていると、一人の若者が出てきた。

「何者だ。ドラゴンボールを狙いに来たのか?お前が住民達を殺して回っている本人か・・・」

それは誤解だ。私じゃない。だが・・・私の邪魔をするというのなら容赦はしない。
両手に魔力を集中させる。それに呼応するように若い男も構えた。

(よしなさい、ネイル。そこの人も)
「!?」

―――頭の中から声がした。

(そこのあなた、お入りください。あなたがどの様な人なのか知りたい・・)
「・・・・わかったわ。あなたのお家に上がらせてもらうわね」

決して油断せずに歩を進める。中はすっきりとしており、地球の人達の様に雑多としていなかった。
そして・・奥には大きなナメック星人がイスに腰掛けていた。

「・・・あなたは誰?」
「私はこの星の最長老。この星の住民達の親です」

フードを脱いでよく見てみる。
その巨漢は相当の高齢で、しかも目が見えないようで、立つことができないからイスに腰掛けているのだった。

206 名前: Fate/Ball TM ◆QWcajfuhO. 投稿日: 2007/08/12(日) 14:48:52

「最長老・・・。そのあなたが私に何の用かしら?・・いえ、あなたになくとも私にあったわ。そのイスに置かれている大きな球・・・ドラゴンボールでしょう?それを私に寄越しなさい」

最長老は少し考える素振りを見せた後、答えた。

「それはできません。ドラゴンボールは善なる者しか扱うことを許可しておりませんので。あなたには僅かではあるが悪の気を感じる。よって渡すことはできません」

頭に血がのぼる。ワザワザ呼び出した挙句に渡さないとは・・・人を馬鹿にしているのだろうか。
老いぼれに手を向ける。邪魔するというのならば消すまで。

「待て!」
「よしなさいネイル。・・・地球の方、ちょっと私の近くまで来ていただけませんか?」
「・・・・・・・・・」

――殺意は感じられない。この時、私自身不思議だったが、素直に最長老の言葉に従い彼の傍まで近づいた。そして最長老はそっと私の頭の上に手を置いた。

「―――ふむ、愛する者と一生を共にしたいからドラゴンボールを探すのか。なるほど、私の種族は性別などないが、その感情は理解できる。そして―――ふむ、ふむ、なるほど。変わった経歴を持っておられますな」
「わ、私の頭の中を読み取ったの!?」
「いいでしょう。あなたにドラゴンボールを渡しましょう。・・今この星には巨大な邪悪が降り立ち、私の子ども達の多くが殺された。その巨悪に渡すぐらいなら、私はあなたにドラゴンボールを託したいと思う。あなたがボールを集めてその願いを叶えてください」
「・・・・・・・・・」
「それとこれを餞別といたしましょう。幸いあなたの潜在能力はまだまだ深いようだ」

最長老がそう言った直後、私の頭に触れていた手がボウッと光り、私の体を包み込んだ。

「な、何をしたの・・。魔力が・・・魔力が漲ってくる!?」
「あなたは生前の時に、既に自分の強さは限界を迎えていると考えていたようだが―――まだまだあなたは強くなれる。私はそのきっかけを与えてあなたの潜在能力を引き出しました」
「す、すごい!も、もしかするとバーサーカーと力比べをしても負けないくらい強くなってるかも!?」
「ネイル・・・よし。では地球の方・・いえ、メディア殿。これをあなたに託しましょう。絶対に邪悪な者に渡さないでください・・。わ、私は寿命が近い。私が死ねばドラゴンボールも消える。願いを叶えるというのならそれまでに叶えてください・・」
「・・・・あ、ありがとう、最長老さん。感謝するわ。・・・・まぁ私が願いを叶えるまで・・・長生きしてちょうだいね」

微笑む最長老。
そうして一つ目のボールを手にした私はローブを頭に被り、次のボールを捜すべく、彼の家を後にした。

「ようやく一つ目を手に入れたわ・・。このボールは・・セイバー達が持ってるレーダーに感知されると厄介ね。異空間に隠しておきましょう」

今の私はまるで影の様に行動できる。次は・・どのボールを狙いに行こうかしら?


――Interlude out.


1、私はシロウと共にドラゴンボールを探していた
2、――Interlude side Sakura in earth
3、――Interlude side Gilgamesh with GOKU in spaceship

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最終更新:2007年08月13日 02:18