427 名前: D two×three×four ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/08/19(日) 17:20:54
ごめんなさい。:全速力で後輩の家に逃げ込んだ。ら、慎二を残して全壊していた。
――――――キィッ
軽自動車と人間で、速さ比べをするなんてばかげている。
だから、曲がる。
もうだめだと思うところまでひたすら走り、曲がる。
そのたび後方から大げさなターン音がする。
また曲がる。
細い路地に入ってしまえば軽自動車と言えども入ってはこれないはず。
そうだ。路地で撒け。
撒いて、そして‥‥浮かぶは三択。
家に帰ろうか?‥‥答えはNO。
屋敷には今桜が居る。学校が無人だったことを考えれば、藤ねぇだって帰っているかもしれない。
この狂った軽が万が一正面玄関から突っ込むような事になって、二人に怪我をさせたらどうする。
いざと言うとき頼りになりそうな、遠坂の家に逃げ込むか?‥‥再び、NO。
何も遠坂の家を壊すような結果になったら後が怖いとかそういう事じゃなく。
全然ない。本当にない。見た目に反して金に汚そうだとか全然思ってないぞ?女の子を巻き込んだら危ないからだ。
では。意図せずに消去法になってしまったが。
――――――ゴスッ ガリ、ガガガガガ
首だけで振り返る。
軽はなお執拗に俺を追い、入れるか入れないかの小道に無理矢理に侵入する。
バンパーが火花を散らしてブロック塀を削り取り、進路を阻む電信柱をなぎ倒し、それすら乗り越え進む。
その姿はさながら戦車。
(ごめん、慎二。お前の家、粉々になるような気がする。)
後一時間もすれば家なき子になる親友のことを思って俺は泣いた。さっきっから怖くて泣きそうだった分スムーズに泣けた。
もちろん泣きながらでも全力ダッシュ、緩めることは無い。
わざわざ細い道を選び、迂回に迂回を重ね、たどり着いた邸宅・間桐家‥‥‥は。
慎二を残して全壊していた。
428 名前: D two×three×four ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/08/19(日) 17:21:42
「なんでさ!!!」
思わず反射で突っ込んでしまった。いやいやいや。なんでさ。
考えようによっては『今から粉々になるかも知れない』間桐家が『すでに粉々になっている』だけで大した違いも無いが、
俺としてはその、ちょっと前までは間桐家だったんだろうな、というモノの真ん中に君臨する慎二。が、気になるわけで。
ちょっと引き気味に立ち止まった。立ち止まった俺を轢き損ねた軽が、そのまま直進して慎二を撥ねた。
「し、慎二っ?!」
ヤバい。垂直距離にして2メートルぐらい浮き上がった体が首から着地。なんというDEAD END。
間桐家の残骸を二三撥ね飛ばし、裏庭あたりでとまった軽をこの際放っておいて、俺は慎二に駆け寄った。
「お、おい。慎二。生きてるか?」
「ううううう、お爺様が、お爺様がぁ‥‥‥よっしゃあ!」
「嬉しそうだな。」
無事ならまあ、うん。いいか。今のはギャグっぽい撥ね方だったし、致命傷には至らないだろう。
急な衝撃で幻覚を見てるっぽい慎二を安全だといいなーなんて思う場所に横たえ、
両手を胸の上で重ねるようにして放置。あでゅー慎二、安らかに。俺は逃げますね?だってここ遮蔽物ないんだもん。
「ま、待てよ衛宮!おいて行く気かよっ、何だよアレ!!」
「あ、起きた。」
――――――ドルルン。
エンジン音。
暴走自動車は、まだ俺の轢死体を諦めていないらしい。
茶番は終わりよ、とでも言いた気に、俺たちに向かってその体を震わせる。
華奢な外形を売りにしたモデルの、ごくありふれた車種であるくせに
通りすがりに町並みを破壊していったそれは、バンパーに傷の一つすらない。
異常だ。
一度拾った命、同じ相手に奪われてたまるか。‥‥俺は。
わかめの:慎二だって生きているんだ魔術師なんだ。状況を説明して打開策を考えてもらう。
にんきに:俺の隣にいるのは究極の出落ち。真のギャグ要員。慎二を囮に、俺は家に帰る。
SHIT:いっつびゅーちほー。奇跡?片腕の男装麗人が軽自動車の横っ腹を蹴り飛ばした。
(ストレートで六票入るとか皆ワカメ好き過ぎ。)
投票結果
最終更新:2007年08月19日 18:36