562 名前: もしハサ ◆yfIvtTVRmA [sage] 投稿日: 2007/08/22(水) 16:11:50

(マスター、次はこっちですよ。だいぶ近づいてます、もうすぐですから)
「ああ、お前の声の反応も早くなってきているしそろそろだな」

間桐慎二は祖父に無理やり渡されたパーカーを着て、アサシンの念話に従って夜の町を歩いていた。
曰く、このパーカーは間桐にとってのラッキーアイテムの様な物で、実力の離れた遠坂が相手だろうと互角にやりあえたりするのだとか。

もちろん、慎二は脳に蟲の涌いた老人の戯言を信じるつもりなどなかったが、祖父からの純粋な厚意を拒否する理由も無かった。
それに、こんな物にもすがりたいという祖父の気持ちが慎二には理解できたからだ。

以前、桜がいて自分が魔術師ではなかった頃ならパーカーをつき返していただろう。だが、魔術の修行をして行くうちに
慎二の人生観は徐々に変化していき、先日の衛宮士郎との会談でそれは決定的なものとなった。
現在、間桐慎二には根拠なき自信はもちろんの事何かに基づいた自信も欠片も残っていなかった。


(ここです。私はこの中ですよマスター)
人払いの魔術で一般人を避けながらようやく辿り着いた場所には巨大な洋館があった。
「い、いや。でもなあ」
(どうしましたマスター、入らないと私に会えませんよ、サーヴァントを得られませんよ)
確かにこの場所にきてから念話は今までで一番の精度を見せていた。ここにアサシンが入るという予感がひしひしとする。
だが、慎二は躊躇した。この洋館、人が足を踏み入れるのにはいささか怪しすぎた。

外壁は僅かな塗り残しもムラもなく闇に溶け込む様な完全な黒。
針の様に突き立った屋根の上では百近い蝙蝠がキイキイ鳴きながら飛び交い、
敷地全体からかもし出す血の臭い、何もいないのに時折聞こえてくる獣のうなり声、
そして真っ黒な屋敷の中で唯一白く塗られた入り口は人の髑髏の様にも見え、その門の上に門と同様に白色で『奇想奇館』と書かれている。

(マスター、いつまでそこで立ってるんですかー?)
「だ、だってさここ怪しいじゃん、お前だってこんなスルメ並みに噛めば噛むほど怪しさがにじみ出てきそうな場所に
踏み込むのは躊躇するだろ」
(ですけど早めに入る事をおすすめしますよ、右から近づいてきてますし)
「何が!?」
(マスターの敵が)

思わず首を向ける慎二。右側の曲がり角の向こうに小さな影が見えた。それは瞬く間に大きくなっていき、
それがこちらに敵意のある男だと認識できた時、思わず慎二は門を押し洋館に入ってしまっていた。

[選択肢]協会に所属していないが地元では名門だったりする某魔術師、型月的に考えてどんな人?
イ.中国の霊幻道士
ロ.ヨーロッパの悪魔狩り
ハ.ネイティブアメリカのシャーマン
ニ.アフリカのネクロマンサー

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最終更新:2007年08月23日 13:07