611 名前: D two×three×four  ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/08/23(木) 15:45:03

お姉さん?男だ、いいから男を出せ!:教会で、独り。神父は知人の死を哂う。



昼間仰々しく太陽光を反射した白い壁は、宵闇の中存在を主張する気味の悪いものへ取って代わる。
誰が好き好んで、深夜に教会を訪れるだろう。
そこに。
くつくつと、噛締めるような笑い声が地を這うのだ。
それは陰鬱をばら撒く湿った哂い。

それは極上の愉悦を歓迎する、一人の神父の哂いだった。



過度な装飾を施された金色の鉢、其処にはられた水にはつい先程まで、
この建物の外の景色が、まるで『人の視界を切り取る様に』映っていた。
鉢自体は機能も外装も、まったく趣味ではなかったが
嗚呼、こんな事にも使えたならば。少しは亡き師匠に感謝するべきやも知れん。


丁度先月の事だ。
闇の中ぼうっと光るこの教会を、好き好んで訪れた女があった。
幾度見た顔だったが、会うまでは思い出すことの無い、その程度の知人。
その女が、さも10年来の知人のように「久しぶりです、コトミネ」などと親しげに挨拶するものだから、
ついその滑稽さに笑ってしまった。(女は私の笑顔を見て、満足そうに頷いた。)
茶でも入れる、まあ座れと適当に椅子を進め、
神妙な顔つきで膝に両手をそろえる執行者に、用件を聞いた。
「聞いていないのですか?この度、私は。聖杯戦争にマスターとして参加する次第です。」
嬉しそうだった。
不可解な。フラガの『魔術を伝えるために産まれ』、『魔術を使うために生き』、
私情の一つも無いまま協会の狗に甘んじるお前に、果たして聖杯に臨むほどの願望が在り得るのか。
聖杯戦争に参加することに何故『其れほどまでに嬉しそう』なのだ、バゼット=フラガ=マクレミッツ?
「健闘を祈ろう。」
それだけ返し、向かいの席に掛ける。
「ええ、貴方には悪いが、私は協会に聖杯を持ち帰る。」
「大した自信だ。そう言うからには、相当な手駒を引き当てたな?」

612 名前: D two×three×four  ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/08/23(木) 15:46:21



「いえ、まだ召還していませんが。」


この女、何しに来た。

「そうと言うのも、私はこの聖杯戦争について、冬木について。余り知識が無いのです。」
ああ困った、とばかりに腕を組み言った。‥‥淹れた紅茶が、異常に苦く感じる。
「この地の監督者と面識があったのは幸運でした、コトミネ。
貴方さえよければ知恵を貸して欲しい。確実な勝利を我が手に、だ。」
自分の『名案』に余程の自信があるらしい。予備知識も無しに、冬木に足を踏み入れたというのか!
「馬鹿を言うな。監督者が一人のマスターに肩入れすることは出来ん。
其れが協会から派遣された魔術師なら尚の事‥‥‥‥」

例えるなら。
三段アイスを買い与えられ、その一口目を食べる前に落としてしまった子供だとか。
フリスビーを一心不乱に追いかけていたら、川に落ちてしまった犬だとか。
そんな、顔をして。私、を‥‥‥!

「‥‥‥だ、っ‥‥‥‥!~~~~!!」
吹いた。
いや不覚。たとい其れが信仰の徒の面前で無かろうとも、
『他人の不幸を哂う』私の悪癖は、最悪含み笑いで留める自信があったのだが。
この女、私を呼吸困難で殺す気か。そう思い再度その顔色を伺えば。

「冗談ですか、コトミネ!まったく人が悪い。」

頬を染めてすねていた。

あ、凄い。笑いの発作が一瞬で止まった。コノ女、ドンナ思考回路ヲシテイルンダ?

「ふふ、貴方にも人に冗談を言うような所があったのですね。意外だ。」
バゼットはなにやら優しい瞳で私を見つめた後(不快だ)
肩にかけて来た大き目のスポーツバッグを部屋の隅に無造作に置いた。

「実は、今日日本についたばかりで、住居のアテが無いのです。
此処は十分に広いようだ、コトミネ。『私はソファでかまいません。』」


言峰 :冗談じゃない。問答無用で叩き出す。
綺礼が :頭も痛くなってきたことだし、諦めてソファでも何でも明け渡そう。
落とせない。 :笑顔で地下室を貸してやった。少し冷えるが構わないだろう?掃除でもしておいてくれると助かるのだが。

(何回やっても何回やっても代行者が落とせ~ないよ~
(中略)次は絶対落とすため 僕は聖杯だけは最後まで取っておく~)

投票結果

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年08月24日 18:58