241 名前: Fate/■■■■■ ◆JtheEeHibM [sage] 投稿日: 2007/06/20(水) 15:55:24
ちょっと頑張ってみる。
* * *
――――――気が付けば、焼け野原にいた。
大きな火事が起きたのだろう。
見慣れた街は一面の廃墟に変わっていて、映画で見る戦場跡のようだった。
その中で、原型をとどめているのが自分だけ、というのは不思議な気分だった。
理由は判らないけれど、自分だけが生きていた。
生き延びたからには生きなくちゃ、と思った。
いつまでもココにいては危ないからと、あてもなく歩き出した。
………どれほど歩いたのか。
ここまで生きていたのが不思議だった体は、ついに限界を迎えた。
倒れた体を起こすことも出来ず、仰向けになって空を見上げた。
煙と雲で、空は黒く塗り込められていた。
燃えていないものがまだあったのか、時折炎と火の粉が視界をかすめる。
雨になれば火も消えるだろうかと、胡乱な頭で考えたところで
閃光と轟音が辺りを包んだ。
「………え?」
思考が追いつかない。
熱気が遠のいたのは、今の雷のせいか。
戸惑っているうちに、この場に不釣り合いなものが目に入った。
「……かった、まだ息が……」
自分とそう変わらない年の、髪の長い女の子がいた。
綺麗な金色の髪がこんな場所に似合わなければ、その黒装束は不釣り合いに勇ましい。
もしかして死神だろうか、と思った。もしそうなら、手にした鎌も黒装束も、こんな場所にいるのも納得できる。
けどその子は。
「もう大丈夫。絶対助けるから………!」
力強く言い切り、微笑みかけてきた。
その笑顔が、とても綺麗で―――
「……宮、衛宮!」
242 名前: Fate/■■■■■ ◆JtheEeHibM [sage] 投稿日: 2007/06/20(水) 15:56:15
「―――ん。なんだ、一成?」
「何だ、ではない。もうとうに授業は済んでる」
辺りを見渡す。
人気も少なく、終業直後の雑然とした空気もすでに無い。間違いなく放課後だろう。
たった今まで、眠ったまま気づかずにいたのか。
「すまない、いつの間にか寝てたみたいだ」
「それは知っておる。全く、衛宮にしては珍しい」
自分でもそう思う。昨夜は『鍛錬』に失敗してそのまま土蔵で朝を迎えたけれど、その疲れが残っていたのだろうか?
「藤村教諭も心配しておったぞ。HRでも起こさずにいたのは前代未聞だ。
衛宮、また無茶をしてはおるまいな?」
「いや、そんなことは無いぞ?」
一成は納得出来ないのか、訝しげな視線を向けてくる。
だがこっちはいたって普通に生活しているだけで、一成や藤ねぇに心配されるようなことは何もないのだが。
あるいは、先刻まで見ていた夢のせいか。
自分では解らないが、寝ている間変な挙動をしていないとも限らない。
……いや、それなら一成がもっと問いただしてくるか。
「―――――ふぅ」
気付かれないよう、軽く息をつく。
昔はもっと頻繁に見ていたが、最近では頻度も減って、取り乱すことも無くなった。
今はもう、何ともない。
「どうにも衛宮の自己申告は信用しきれんものがあるが。
ともあれ、もう放課だ。早く帰って体を休めたらどうだ」
……そうだ、もう放課後なんだったな。
さて、これから―――――
【Ⅰ】:買い物をして帰るか。
【Ⅱ】:備品の修理が残っていたな。
【Ⅲ】:慎二に言わなきゃいけないことがあるんだった。
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最終更新:2007年08月24日 19:17