779 名前: Fate/■■■■■ ◆JtheEeHibM [sage 二日目・放課後 - 運命の夜(鐘)] 投稿日: 2007/07/27(金) 11:58:41
靴を履き替えて外に出たところで、陸上部の後片付けが目に入った。
俗に陸上部の三人娘と呼ばれる、二年生三人だけで器具類を運んでいる。
「なんだようー、こんなの後輩にやらせればいいじゃんよー」
「もうみんな疲れちゃってるし、ね?」
「そもそも、後輩をしごき倒したのは蒔の字だろうに。……む?」
三人の一人―――氷室 鐘がこっちに気付いた様子。
「どうしたの、鐘ちゃん?」
「いや、意外な顔を見たのでな」
「お? ホントだ、いいトコに来た! おーい、えみやー!」
蒔寺に大声で呼ばれる。
……なんとなく次の発言の予想がつきつつも、三人のほうへ向かう。
ちなみに彼女が俺を呼ぶ場合、たいていは何か用事を頼むときである。
「ちょうど良かった! コレ片付けといてくれよ」
「―――蒔の字。偶然居合わせた人間に対し、呼びつけるなり
いきなり手伝わせるのはどうかと思うが」
「そ、そうだよ蒔ちゃん。衛宮君にも悪いし……」
「いいぞ別に。倉庫のほうでいいんだな?」
予想通りの内容だったのですぐに頷く。
と。
「え………?」
「―――――」
「……マジ?」
なぜか三人とも、鳩が豆鉄砲をくらったような状態だった。
蒔寺にいたっては自分で頼んだくせに胡散臭そうな視線を向けている。
……なんでさ?
「あんまり遅くなると危ないだろ。
片付けならやっておくから早く帰ったほうがいいぞ」
「……ふむ。衛宮の言い分にも一理あるか」
まず動き出したのは氷室だった。
「え……でも」
「由紀香、君の場合は家事もあるだろう」
「そーそー、由紀っちが気にすることないって。本人がああ言ってるんだしさー。
……なーんかすっげえ怪しいけど」
蒔寺からの疑惑は解消されないまま、帰る方向で話がまとまってきている。
「衛宮にまかせるってことでいいよな? 早くかえろーぜ」
このまま決定か、と思ったら。
「――――いや、二人は先に帰ってくれ。私は衛宮を手伝おう」
なんて、意外な発言が飛び出した。
「別に俺一人でも大丈夫だぞ? 何も氷室が残ることもないだろ」
「人手は多いに越した事はなかろう?」
ニヤリと笑う氷室。
あ、なんか嫌な予感。
「由紀香は言ったとおり、家事もあって忙しい。
本当なら蒔の字も残るのが筋なのだが」
俺が口を挟む隙を与えず、氷室は言葉を続ける。
「乗り気ではないまま手伝わせても、かえって仕事が増えそうだからな」
「おう、分かってるじゃん!」
グッとサムズアップする蒔寺。
……いや、今の喜ぶところじゃないぞ、多分。
さて。
三枝と蒔寺は帰り、氷室と二人で片付けに取りかかった、のだが。
正直、対応に困っていた。
【Chance Encounter】:なにしろほとんど面識が無いのだ。
【Aluren】:二人きりになり、変に緊張しているのが自分でもわかる。
【Curiosity】:初対面が印象的過ぎて、つい身構えてしまう。
投票結果
最終更新:2007年08月24日 19:40