642 名前: Fate/testarossa  ◆JtheEeHibM [sage 二日目・セイバー召喚。VSランサー - プロミスト・サイン] 投稿日: 2007/08/24(金) 13:54:33


  ………俺も解ることはほとんどない。
  知っている人物がいるとすれば――――

 「……………?」

  目の前にいるこの女性だけだ。
  閃光と共に現れ、窮地を救ってくれた人。
  明らかに人間ではない槍の男と渡り合った、同種の存在。

 「………なあ」

 「はい」

  意を決して話しかけると、素直に返事を返してくれる彼女。

 「一体何者だ、あんた」

 「えっと………」

  俺の問いかけに対し、彼女は少し言いよどむ。
  視線を追うと、俺ではなく後ろの氷室のほうを気にしているようだ。

 「氷室も巻き込まれてる。もう無関係じゃない。
  出来るなら一緒に説明してほしい」

  それで納得したのか、彼女は説明を始める。

 「それでしたら。
  ―――私はセイバーのサーヴァント、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。
  聖杯戦争に参加するために呼び出された、貴方のサーヴァントです」

 「――――っ」

  さっきから俺を主人(マスター)だの自分を召使(サーヴァント)だの、トンデモナイ発言が続いている。
  頭のどこか冷静な部分が違う意味だろうと判断しつつも、やはりそのままの意味で聞こえてしまい当惑する。
  サーヴァントを自称する少し年上の女性からマスターなんて呼ばれて敬語で話しかけられるとは、変な趣味の
 人なら悶絶しそうな状況でありむしろそんな趣味なくても目覚めてしまいそうなくらい目の前の彼女は別格といいますか、
 とにかくまずい。

 「どうかしましたか、マスター?」

 「い、いや―――えっと。そのマスターって呼び方どうにかならないか?
  俺には衛宮士郎っていう名前があるからそっちで頼む。
  あとできれば、敬語も苦手というか」

  だんだん自分でも何を言ってるのか解らなくなってきた。

 「そうですか? それじゃ………士郎、でいい?」

 「う―――あ」

  よ、よりにもよってわざわざそっちを?!
  初対面だったら苗字の方にしないかフツー………!!

 「――――衛宮」

  またも思考が暴走しかけたところで、隣から声がかけられた。

 「親睦を深めるのはいいが、もう少しTPOを弁えないか?」

  その声の温度が幾分下がっているのは気のせい………じゃないな。
  事態を確認しようとしているのにこんな会話になっていたら、氷室じゃなくても呆れるのは当然だ。

 「す、すまない」

 「しっかり頼むぞ」

  それまでの戸惑いとかおびえとか、そういった雰囲気がすっかり取れて落ち着いている氷室。
  冷静さを取り戻させる事が出来たのだから、さっきまでの間抜けなやりとりも少しは役に立った、のだろうか?
  とりあえず氷室に頷いてから、もう一度向き直る。

 「すまなかった、ええと……」

 「あ、言いにくいようだったら、フェイトでいいよ?」

  言い馴れない名前に口ごもったこちらを察して、フォローを入れてくれるフェイト。

 「う………じ、じゃあ。フェイト」

  名前で呼びかける気恥ずかしさを押し殺して、訊かなければならない事を問いかける。



 【Mystical Teachings】:先程出た、『聖杯戦争』という語について
 【Lightening Axe】:何度か聞こえた、合成音のような声について
 【Battle Cry】:夜の学校で見かけた、赤と青の男について

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最終更新:2007年08月24日 19:59