947 名前: D two×three×four  ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/09/04(火) 17:51:08

勘違いしてたみたいっす。:マキリやサーヴァントについて。



衛宮の屋敷に、優しい時間が流れる。
相変わらずテーブルの上にごろっと転がってる右腕はなんかもう気にしないことにするとして。

正座を崩して湯飲みに手を添える桜、
物珍しそうな顔で緑茶をすするレヴィ、
そしてそんな二人を眺める俺。
「茶菓子、なんか出そうか?」
「え、あ、いいです!夜に食べると、そのぅ‥‥」
「おー。あたしァ貰うぜ、何がある?」
桜が恨めしそうにレヴィを見る。
「貰い物のクッキーと‥‥あと、ドラ焼き。わかる?」
「ワガシか?」
「そ。桜も食べるよな。」
「え!う、あ、食べ‥‥よっ、かな‥‥」
平和だ。圧倒的に。

「なあ、桜?」
レヴィはモノを美味そうに食うよなあ、ドラ焼きも幸せだろう。
食い終わったと思ったらさっさと宙に消えていった。
『何かあったら呼べよ、あたしは疲れた。』――――了解。

「俺さ。もうよくわからないまま巻き込まれるのは嫌だ。
大切な人を失うのも嫌なんだ。
‥‥それに、俺。できたら桜の力になりたいんだ。
俺に話してくれないか?」
桜はついと目を逸らす。
「此れは――――『聖杯戦争』は、魔術師の戦いですから。
先輩では、危ないと思いました。」
「うん。俺は魔術師見習いだもんな。
さっきから起こってることの、原理?とか。さっぱり判らないで居るし。」
「‥‥『衛宮』は聖杯戦争について、何も知らないんですね?」

948 名前: D two×three×four  ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/09/04(火) 17:51:55

魔術師は代を重ね知識を重ね、その家の魔術を研ぎ澄ますのが常である。
が、この冬木の地に住まう魔術師には例外が多い。

それがまず俺、『衛宮』の家だ。
先代である『衛宮切嗣』はふらりと冬木に立ち寄り、
何が気に入ったのか屋敷を構え養子を貰い、(そう、俺だ。)
俺に『衛宮』の何たるかどころか、『魔術師』の何たるかさえ教えぬままに早世した。
だから俺は形式上『衛宮の魔術師』でありながら、
衛宮が何代続いたどのような魔術を使う家柄だか皆目わからないし
そもそも『魔術師のあり方』とかそういうものを、殆ど知らないで居る。

そんな俺が、今までどうやって魔術師の真似事をして来たかと言えば。
第二の例外『間桐』の、間桐慎二のお節介の賜物といえる。

俺が魔術師である事実は、知り合っていくらか経った頃
慎二が「たまには衛宮の家にも行きたいんだけど。」と注文をつけてきた時の、俺の家の玄関口で盛大にバレた。
親父が『悪意あるモノに反応して警報が鳴る』とか何とか言ってた結界に、
慎二が見事に引っかかったせいだ。
(「だってさ、僕は毎日家で居づらい思いしてんのに
衛宮は広い家に独り暮らしとかずるいよ。そりゃ悪意の一つぐらい持つだろ?」
爽やかに開き直られたので、そうですか、としか言いようが無かった。)


始めに『普通魔術師は他の魔術師にいろいろ教えたりしないんだぞ』と前置きしてから。
俺が使う強化の魔術がいかに無駄か、とか
そもそも俺の鍛錬方法がいかに無駄か、とか
養子である俺には魔術回路があんまり無いから正味落ちこぼれどころの騒ぎじゃない、とか
ぶっちゃけ刻印無い時点でアウトだよね、とか。

「でも、僕も衛宮と似たようなものなんだよね」とか。

慎二は自分の家について余り喋らなかった。
ただ、唯一何と無く判ったことは。

慎二もまた魔術師で、俺と同じぐらい魔術師じゃない、という事。

949 名前: D two×three×four  ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/09/04(火) 17:53:03

「――――兄さんは、戦争のことは話さなかったんですね。」
間桐の魔術の殆どと、間桐の魔術刻印を継いだのは桜だ。
慎二には才能が無く、妹にはあった。だから、間桐の魔術師は『間桐桜』。
「兄さんも、巻き込みたくなかったんだと思います。
聖杯戦争は、『マキリ』と『遠坂』と『アインツベルン』の問題ですから。」

「‥‥マキ、リ?」
「ああ、間桐の事です。元は外来の魔術師で、『マキリ』と。
冬木に住むようになってからは日本名を名乗るようになって。」
「それで、間桐。」
「はい。でも日本の水が合わなかったみたいで、すっかり衰退しちゃいました。
一般人と大して変わらなかったんですよ、兄さんなんか。」
二人して故人を悼む。
俺が言えた事ではないけれど。あいつは『魔術師じゃない方が良かったんじゃないか。』

「いろいろ省略しちゃいますね?ええと、
要するにレヴィさんみたいな『サーヴァント』と呼ばれるモノを使役して、
魔術師同士戦うのが『聖杯戦争』、『マスター』の役目です。
『サーヴァント』は架空のキャラクターから好きなものを呼び出せると思ってもらって構いません。」
「うん。」
「で、話を『マキリ』に戻します。
今、『マキリ』はパーフェクト超人遠坂先輩の『遠坂』と、外国の超お金持ち貴族『アインツベルン』と戦わなくてはなりません。
『遠坂』は派手好きなので毎回あり得ない火力の魔術とサーヴァントを使ってきます。
『アインツベルン』は毎回対処に困る策を練ってきます。もう、両方ともすっごく強いんです。」
「‥‥大変だな。」
「更に大変なことに、『マキリ』には
私と蟲とジジイと魔術師(マジシャン)より手品師(マジシャン)に近い兄さんしか居ません。」
「‥‥勝てる気がしないな。」
「はい。普通に戦ってもまず勝てません。
だからこの際一子相伝とかは無かったことにして、
私と兄さんと二人で戦いなさい、とジジ‥‥‥‥‥お爺様は、言いました。」
「さっきジジイって言ってたぞ?」

950 名前: D two×three×four  ◆cCdWxdhReU [sage] 投稿日: 2007/09/04(火) 17:54:45

「こほん。サーヴァントには『クラス』というモノがありまして、
一番強いのが『セイバー』、使い易いのが『アーチャー』『ランサー』『ライダー』、
扱い辛かったりするのが『バーサーカー』『キャスター』『アサシン』。
けど、それはあくまで『サーヴァントが一体しか持てない』としての話です。」
「ほう。」
「戦闘力だけならばセイバーに勝るとも劣らず、しかし他方面においてはさっぱりな『バーサーカー』。
逆に戦闘力に欠けるものの、敵に回せば厄介な『アサシン』。
ろくな魔術の扱えない兄さんが前者を、
そも白兵戦に向かないマキリの魔術を使う私とお爺様が後者を。
要するにマスターも含め『特攻』と『フォロー』に役割を決めて。‥‥机上のままならば、中々の策。」
「‥‥‥何かあったのか。」
「‥‥‥何でもありました。」



マキリの家では色々な事がありました。

お、おじいちゃーん!:慎二のサーヴァントに起きたハプニングから聞く。
ハズレにも程がある。:桜のサーヴァントに起きたハプニングから聞く。
(どっちに重きを置くか、ってだけで結局両方聞けるよ。
相変わらず、ワカメに関わる部分は長くなるし気合も入るぜ!)

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最終更新:2007年09月05日 04:12